秘密の部屋
□第17話 屋敷しもべ
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食堂でジュースを飲んでいたら、ここの孤児院の園長がやってきた。
「あら、美味しそうですね〜。私も頂きましょう」
園長も私が飲んでいたジュースをコップに移して飲んだ。
「ふ〜美味しい。ところでナエ。学校生活はどうですか?」
ニッコリと聞いてきた。
「凄く楽しいですよ!友達も沢山出来ました!私の知らない事だらけを沢山学べたし、ホグワーツって素敵です」
「おやおや、それは何よりですね。寮はグリフィンドールになったみたいで。私はスリザリンでしたよ。」
園長も魔法使いでホグワーツ出身。
寮はスリザリンかぁ。
なんか園長先生のイメージからは考えにくいな〜。
こうゆう話は他の子がいると出来ない話だ。
今は周りに誰もいないので、ホグワーツでの体験話や園長の在学中の時の話等で盛り上がっていた。
「いろんな経験をしましたね。でもこれから学ぶ事はまだまだ沢山ありますからね。きっともっと楽しい生活が待っていますよ。あら、もうこんな時間。夕飯の準備に入ります。ナエは部屋でくつろいでて下さい」
ニッコリと笑って園長先生は夕飯の支度に取り掛かった。
「部屋でのんびり…してると頭がもんもんしてくるんだよね」
悩みはジュースを飲んだだけでは解消される訳なく、また自分との葛藤を繰り広げるべく部屋の扉を開けた。
扉をあけると
ピョーン!
ボスンッ!
ピョーン!
ボスンッ!
…………
目の前に何かいた。
私のベッドの上で飛んだり跳ねたりを繰り返していた。
「……だっ…だれ…」
恐る恐る聞くと
ベッドの上で飛んでた生き物がこちらを振り返った。
小人みたいに小さくて、目は大きなビー玉みたいにクリクリとして鼻の長い…
「…ワン〇ースのウ〇ップ?」
思わず口に出して言ってしまった。
「こ…これはこれはナエ・カンナヅキ様。お会い出来て光栄です。はい」
その生き物はこちらを向いて、深々と頭を下げながら挨拶をした。
「ど…どうも。…てか何で私の名前知ってるの?あなた誰?小人?」
「自分はドビーと申します。屋敷しもべ妖精のドビーです。」
よっ妖精だったの?
「妖精がこんな所に、私に何の用?あなた魔法界の生き物ね?」
こちらの世界ではまず存在しない生き物だと思った。
「はい。ドビーみたいな屋敷しもべは一つの家に一生お使いする妖精でございます。今日はナエ・カンナヅキ殿にお願いがあって参りました」
「私にお願い?話はとりあえず聞くわ。立ち話もなんだから、そこの椅子に座って!」
私がドビーに椅子に座るよう言ったら
「うっ…うぅ…はぅ…」
急に泣き出した。
「えっ!?ちょっとドビー?何で泣くの!?」
「うっ…ナエ・カンナヅキがドビーに椅子に座る事を進めて下さった。…うぅ…」
椅子を進めた事が珍しいのか嬉しかったのか解らないが、泣きながらドビーは話した。
椅子に座る事を進めてくれた魔法使いは初めてらしい。
「そうなの…いい魔法使いに出会わなかったのね…」
ドビーは椅子に座りながら答えた。
「屋敷しもべにはそれはもう酷い扱いで…はっ」
そこまで言うといきなりドビーは椅子の上に立ったかと思えば、私の机の上に頭突きを始めた。
ゴンッ!
ゴンッ!
ゴンッ!
「ちょっ…ちょっとドビーやめて!しっ!静かにして!誰か来たら…」
慌ててその行為を止めに入った。
「今ドビーはお仕置きをしたんです。自分が使える家の悪口を言おうとしました。ドビーは悪い子。ドビーは悪い子」
ゴンッ!
ゴンッ!
またやり出した。
「ちょっとホントにやめて!誰か来ちゃ…「おいナエ、何の音だ?」
扉の外から声がした。
この孤児院で一緒に育ったアキトだ。
マズイッ!
私は扉に猛ダッシュして扉が開かないように押さえた。
アキトは何事か確かめようと扉のドアのぶをガチャガチャと回した。
「おいナエ何の音だよ。スゲー響くぞ?」
中に入ってこようとした彼をなんとかここで阻止しなければ。
「ごっ、ごめんねアキト!むっ虫が入ってきて!今やっつけた!でも私着替えの途中でもあるから…はっ入られたら困るな〜」
とっさについた苦し紛れな嘘。
最後の方声が裏返ってしまった。
信じて貰えるか?
「ふ〜ん。そっか、なんだ虫か。もう夕飯出来たみたいだぞ!先食堂行ってるからな」
そう言ってアキトが食堂に向かう足音が聞こえた。
よかった。
信じてもらえた。
ホッとして再びドビーの元へ。
「お願いだからここでのお仕置きはやめてね。もし見つかったら大変だから」
私はドビーにお願いした。
「さて、本題に入りましょう。私へのお願いってなにかしら」
お互い再び座り直した。
トビーは話し始めた。
「ナエ・カンナヅキはホグワーツに戻ってはなりません」
「…はい?」
「ホグワーツでは今年恐ろしい事が起きます。どうかここで留まり下さい」
なっ、何?
「ちょっと待って。私へのお願いってそれ?ホグワーツに戻るなってなんでよ。私はあそこで学ぶ事が沢山あるの。だからそれは困る!」
私は拒否した。
当然だ。
突然戻るなと言われてはいそうですかなんて言える訳がない。
「そもそもその危険って何よ。話してみなさいよ」
ドビーを問い詰めた。
しかしドビーは答えようとしない。
とゆうより
「解りません。でもあなたとハリー・ポッターに危険が迫ってます。どうか留まり下さい」
え?
ハリーに…危険?
「ドビーそれどうゆう事!?ハリーに危険って何!?」
まさか例のあの人絡み?
「ドビー教えなさい」
ドビーに問いただすが答えようとしない。
「お二人にとってあの場所は危険でございます。ドビーは警告に参りました」
警告…
賢者の石事件があったばかりだ。
ドビーの言う通りホグワーツで何かが起こる事も可能性としては大いにある。
「ではナエ・カンナヅキ。ドビーはここでお別れでございます。ハリー・ポッターにも警告してまいります」
ハリーの所へ!?
「ちょっと待って!まだ聞きたい事が山ほど…」
パチンッ!
ドビーは指を鳴らすとスーッと消えてしまった。
「消えちゃった…」
私はその場で立ちつくした。
ハリーに危険…ホグワーツは安全な場所ではなくなる…
私は荷物をトランクにまとめた。
いつでも出発出来るように。
ホグワーツは私のもう一つの家なんだから。
危険がせまってるなら
それを阻止するまでよ!
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