狼少女

□第04話
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「はっ、1ヶ月でくたばらなかったら覚えてやるよ。ここじゃパタパタ死んでく奴が多いからな、こいつらみたいに」


神田は見下したように言う


ギリ..


アレンが掴んでいた手に更に力を入れた


「だからそういう言い方はないでしょ」


真剣に言うアレンを神田はいつもの仏頂面で、



「早死にするぜお前…キライなタイプだ」


そう言い捨てる


「そりゃどうも」

アレンも負けじと神田を睨みつけた


『……(馬鹿)』


フェンリルは小さくため息をついて睨み合う二人を見て呆れた



そこに…


「あ、いたいた!神田!アレン!フェンリル!10分でメシ食って司令室に来てくれ!任務だ」


遠くでリーバーが三人に呼びかけ、三人は振り向く


『あっ、リナリーもいる!』

フェンリルはリーバーの隣にいたリナリーを見つける


リナリーはフェンリルに手を振って笑いかけるとリーバーと行ってしまった


「チッ…」


神田は舌打ちをしてその場を去る


残されたアレンとフェンリル



「あの、フェンリルは食事終わったんですか?」


アレンの質問にフェンリルは振り向き、机の残ったご飯を見てから、


『…食欲ない』


さっきと違ってまた無愛想になる



「ちゃんと食べないと身が持ちませんよ?」


アレンは少し戸惑ったが微笑んで言った

フェンリルはちょっと驚いて、でも直ぐにまた俯き加減になると席についた


「(僕の言うこと聞いてくれたのかな?)」

アレンもフェンリルの向かい側に座り大量の食料を食べ始める
























「ぐーーー」

『……………。寝てる』


司令室に行ったはいいが、呼び出した本人は沢山の資料や本と寝ていた


「室長!コムイ室長!」

リーバーはそんなコムイを揺さぶる


「んゴー」


それでも起きないコムイを殴る


「んゴー」


……。


やはり起きない


リーバーは小さくため息をついて最後の手段に出る



「リナリーちゃんが結婚するってさー」


コムイの耳元で囁くリーバー

そして……



「リナリィィー!!!」


今まで何をしても起きなかったコムイは起きたのだ


「お兄ちゃんに黙って結婚だなんてヒドイよぉーー!!!」


1人嘆くコムイにその場にいた5人は呆れる


「悪いな。このネタでしか起きねェんだ、この人」



…………


「いやー、ごめんね。徹夜明けだったもんでね」

「オレもッスけど!」

ははは、と笑うコムイと後ろで資料を広げるリーバー


神田とアレンはソファに座りリナリーから資料を受け取った


フェンリルはリナリーの傍で神田の資料を後ろから眺めていた


「さて、時間が無いので粗筋を聞いたらすぐ出発して。詳しい内容は今渡す資料を行きながら読むように」


いきなり真剣に室長として二人に言うコムイ


「「!」」


「ふたりコンビで行ってもらうよ」



コムイに言われた言葉を理解した二人は互いに見合って嫌な顔をする


「え、何ナニ?もう中悪くなったのキミら?でもワガママは聞かないよ」


コムイはそう言ってシャっと地図を広げた


「南イタリアで発見されたイノセンスがアクマに奪われるかもしれない。早急に敵を破壊しイノセンスを保護してくれ。それと…」



今度はリナリーの横にいたフェンリルに視線を移し、


「二人だけじゃヤッパリ不安だからフェンリルにも行ってもらうよ」


『え。』


フェンリルは思いも寄らない言葉に驚く


「フェンリルも行くのか…」

「だからフェンリルも呼んだのね、兄さん」


大して驚きを表さない二人


「最初はアレンくんと神田くんのコンビにしようかな、って思ったけどね。それにフェンリルにも人間嫌いを克服してもらわなきゃ」


コムイは子を思う親のように言った

フェンリルの表情は引きつるばかり



フェンリルは今まで誰かとコンビでしか任務に行ったことがなかった



「人間嫌い?」


アレンはコムイの言葉を復唱した


「アレンくんもフェンリルの傍にいれば分かるよ♪じゃあ行こうか?」




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