あなた日和

□帰り道
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――何故テストなんてものがあるんですか?

そう兄さんに訊いたら、

学生の悲しい運命だよ。


なんて素っ気ない答えを与えられて三日経つ今日、中間考査最終日。









episode 14









「っあ〜〜、つっかれた!」


素直な感想を吐き捨て大きく伸びなんかして。
ゴッさんが出て行った今、中間テスト終了の喜びをかみしめる私。


「おつかれ〜」

「ん、おつー」


ヒラヒラと手を振りながら、真紀と苦笑し合う。


「で、どうでしたあいさん」

「どうもこうもないっすよ。まぁいつもよりはいい気もしますけど」


これも一週間の努力のお陰だと思う。

たった一週間。
たったそれだけの日数、結局岡崎とは一緒に帰れなくて。

今すごく岡崎が恋しい。


「藍」

「ぅわっ!?」


突然背後からかけられた声に、我ながら女らしくない声を上げてしまう。
見ればやっぱり岡崎で、私のその反応を見てかにっと笑う。


「ちょっと、おどかさないで」

「別におどかしたつもりないし。俺は安藤の指示通り藍の後ろから声をかけただけ」

「真紀!!」


キッと真紀を睨むと、真紀も楽しそうに笑う。


「だって、面白そうだったから」


なんだその理由。
そんな理由で心臓に悪いことしないでほしい。


「藍、帰ろ」


―岡崎断ち解禁。
まさに、そんな感じ。

なんか自然と頬が緩んで、岡崎に私の気持ちを知られそうで怖くなる。
でもそんな怖さより、やっぱり嬉しさの方が大きくて。


「うんっ」


本当はよくない筈なんだけど、いや全然よくはないんだけど。
テストの結果なんかどうでもいいと思ってしまった。
 
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