あなた日和

□それだけ
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「何ニヤけてんの?」

「わあっ!?」


突然覗き込んできた達哉に、びっくりして声を上げてしまった。
達哉はその事に逆に驚いてるようだ。お前のせいなのに。


「修、おはよう」

「え、うん。おはよ」

「で、何ニヤけてんの?」


なんつーマイペース…
ちょっと感心するよ、お前。

仕方ないから、さっきまで見てた携帯の画面を達哉に見せる。
それは、こないだ撮った藍のチョコレートケーキ。


「どうしたの?コレ」

「藍が作ってくれた。すっげーうまいの」


ビックリするぜ?
そう言えば、達哉は嬉しそうに笑って。


「じゃあ、うまくいったんだ。土曜日」

「は?」

「真紀ちゃんと心配してたんだよ。修奥手だし」


なんで知ってるんだとかくだらない疑問はもう浮かばない。
どうせ、安藤だ。

ていうかこいつらか、噂してたの…


「達哉」

「なに?」

「ていっ」


きょとんとするそのカッコいい顔にデコピンしてやった。
達哉は疑問符を浮かべてるけど、俺の恨みは少し晴れた。









episode 17









10分休み。
別に昼休みでもいいんだけど、でも昼休みは岡崎と食べる約束がある。
だからと思って今B組の教室に来たんだけど…

珍しいものを見る視線が痛い。

今まで二回ぐらいこのクラスに来たことがあるけど、この視線はほんとに勘弁してほしい。


「すいません、水城くんいますかぁ…」

「達哉?修じゃなくて?」

「え、はい?」


近くに居た適当な人に訊くと、奥の方にいた水城に声をかけてくれた。いい人。
水城と一緒にやっぱり岡崎も居て、私に気づいた二人がおいでおいでって手招きする。

犬みたいに…やめてほしい…

そうは思いながらも、少し小走りで二人の所に行く。
だって視線が痛いんだもん。


「おはよう中村さん」

「ん、おはよ」


あぁ、やっぱり王子様スマイル健在。
この笑顔にたくさんの女の子達が射抜かれるんだろうね。私も含め。
でも今は岡崎だから。相変わらず望みないけど、もう失恋からは立ち直ったって言ってもいいと思う。
 
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