あなた日和
□ギャラリー
1ﾍﾟｰｼﾞ/4ﾍﾟｰｼﾞ
「もうすぐ練習試合近いんだ」
――だそうで。
最近練習量がハンパないそうです。
episode 18
「暇ぁ」
ただ机に突っ伏して項垂れる。
岡崎は部活。
バカップルは帰宅。
クラスメイトは…知らない。
とにかく、教室には私しかいない。
岡崎が部活の日はいつも待ってるけど、その度に暇になる。
なにか暇潰しがあればいいけど、そんなものがあったらとっくにやってる。
「暇ぁ〜」
意味もなく吐き出せば、教室を覗き込んでくる人影を見つけた。
「お、中村。いいとこに」
げ、ゴッさん…
「ちょっと手伝ってくれよ」
そう言ったゴッさんの手元にはありえない量の荷物。
「先生、私か弱いんですけど」
「握力30の奴がよく言うな」
それは料理するから自然と…
「ほら」
有無を言わさない笑み。
…神様は意地悪だ。
◇◆
「いやー助かったよ。ありがとな」
社会準備室。
ゴッさんはどう見ても体育教師なのに社会科担当だ。ありえない。
私は大量の荷物を運ばされて、特に欲しくもない労いの言葉を頂戴した。
「いえ、もういいですか」
「あぁ、用が無いなら早く帰れよ」
ちゃっかりコキ使ったクセによく言うよ。
適当な返事をして、私は教室に向かった。
その途中で体育館の近くを通る。
自然と耳に入る掛け声と、キュッキュッというシューズの音。
それと、歓声。
見ればやっぱり、女子のギャラリーが居る。