- MINHO - 短編
□歯形つきのシャーペン
1ページ/1ページ
YOU.side
「そんなかりかりしないでくださいよ」
真夜中社長におしつけられた仕事を1人残ってやってると、この会社で働いてる後輩のミノがやってきた。
「忘れ物?」
「はい、これを」
ミノはそういって自分の机から書類を出し、私にぴらぴらと見せた。
じゃあね、と適当に手をふるも、ミノは私の隣の席に座った。
「何か用?」
「いや、面白いものみつけて」
ミノはそういい、ひょいっと私が持っていたシャーペンを取り上げた。
そして私に向ける。
「歯形ついてます」
「Σ/////」
わたしは慌ててミノの手からシャーペンを奪いポッケにしまった。
「しょ、しょうがないの!ストレスがたまってるんだから…」
「だからってこれは…ねぇ?」
「なによ」
「いつもクールな姉さんが、こんな子供みたいな癖があったなんて」
ミノはそう言ってくすくすと笑う。
「可愛くないやつ」
「知ってます」
早く帰りなさいとミノをあしらうと、唇にミノの指がちょん、と触れた。
「…何?」
「ストレスたまってるんでしょう?」
「…かみちぎってほしい?」
「いいですよ。姉さんになら」
ミノはそう言って指を唇にすり替え、ちゅっ、と私にキスをした。
「姉さんの違う一面みたら、好きになっちゃったかも」
そう言われたら…わたしだって。
いつも優しい静かなミノが、こんな積極的な一面を持ってたことにドキドキしてる。
「姉さん、僕と付き合って下さい」
そう、甘い声と一緒にまた重なる唇に。
わたしはそっと。
瞳を閉じた。
.