- MINHO - 短編

□僕達も
1ページ/1ページ

MINO.side




『そろそろバスくるけどばぁさん、何か飲むか?』

『いいえ、大丈夫ですよありがとう』



姉さんが帰るバスを姉さんと待っていると、隣に座っていたお年寄りの夫婦がそんな会話をしていた。


その夫婦が乗るバスがきて、何も言わずおじいさんはおばあさんの荷物をもって。

もう1つの手はしっかりと手を繋いでいた。





「すごいなぁ〜…」

「何がですか?」

「歳をとっても、あんなに仲良しだなんて」


姉さんは羨ましそうに、そのお年寄りの夫婦が乗ったバスを見送っていた。



すると姉さんが乗るバスがやってくる。
姉さんはぱっと繋いだ手を離す。


「一緒に待っててくれてありがとう」


離れた姉さんの手に、寂しさがやってくる。


バスのドアが開いて姉さんが乗ろうとしたとき、僕はもう一度手を掴んだ。


「ミノ?」

「僕達も…、」

「うん?」

「手を離さなくても済む日はくるよね?」



すると姉さんはふんわり笑って、僕の頬にキスをした。



「そんな日も、近いんじゃない?」



寂しさに襲われてた僕の手が、急に熱を帯びた気がした。




.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ