- MINHO - 短編
□僕達も
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MINO.side
『そろそろバスくるけどばぁさん、何か飲むか?』
『いいえ、大丈夫ですよありがとう』
姉さんが帰るバスを姉さんと待っていると、隣に座っていたお年寄りの夫婦がそんな会話をしていた。
その夫婦が乗るバスがきて、何も言わずおじいさんはおばあさんの荷物をもって。
もう1つの手はしっかりと手を繋いでいた。
「すごいなぁ〜…」
「何がですか?」
「歳をとっても、あんなに仲良しだなんて」
姉さんは羨ましそうに、そのお年寄りの夫婦が乗ったバスを見送っていた。
すると姉さんが乗るバスがやってくる。
姉さんはぱっと繋いだ手を離す。
「一緒に待っててくれてありがとう」
離れた姉さんの手に、寂しさがやってくる。
バスのドアが開いて姉さんが乗ろうとしたとき、僕はもう一度手を掴んだ。
「ミノ?」
「僕達も…、」
「うん?」
「手を離さなくても済む日はくるよね?」
すると姉さんはふんわり笑って、僕の頬にキスをした。
「そんな日も、近いんじゃない?」
寂しさに襲われてた僕の手が、急に熱を帯びた気がした。
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