- TAEMIN - 短編
□雨と傘
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ダンスレッスンが終わって
僕は家までバスで帰る。
そしてそのバスには
必ず雨の日だけ乗っている
綺麗なお姉さんが乗っているんだ。
(今日は雨…ってことは…いた。)
僕の斜め前に座って
iPodで音楽を聴いてる彼女。
その彼女を
声をかけずに
静かに、静かに見ている僕。
彼女は僕の一つ前のバス停で降りる。
(あ─…おりちゃう)
お金を運賃箱にいれて
ヒールを鳴らしながら降りる。
「…あ」
お姉さん、傘忘れてる。
僕は反射的に傘をもって
後を追うようにおりた。
「ちょっ…お姉さん!」
既に歩いてる彼女を呼ぶと
くるりと振り替える
そして僕がもっている傘を見て
「あ、傘!」
カツ、カツと小走りで寄ってきて僕から傘を受けとれば
にこっと微笑んでありがとうって。
その笑顔が可愛くって
僕はドキッとしてしまう。
「君バスからだよね?」
「あ、はい」
「もしかしてもっと先の方?」
「そうですけど次あるんで大丈夫です」
じゃあ、と言って
バス停に戻ろうとしたのに
「まっ…まってι」
「ぉわっ/!」
ぐんっと腕をひっぱられて
僕は少しバランスを崩した
「一緒にまってるよ」
「え、でも…」
「私のせいだから待たせて、ね?」
彼女はそう言って僕がドキッとした笑顔をもう一度僕にむけた。
「…じゃあ、お願いします//」
雨よ 傘よ ありがとう。
この後僕が
必死にアタックしたのは
言うまでもない。