- TAEMIN - 短編

□言えなくて
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がちゃり、と玄関から音がして

ソファーに座って姉さんをずっと待ってた僕は

その音に過敏に反応した。


「テミン、いるの?」

「いるよ」



男性用の香水が香る上着を脱ぎ捨てて姉さんはお風呂に行ってしまう。




僕は姉さんに叶わない恋をしている。

仕事場で知り合って積極的にアタックをしてみたけれど、
姉さんにとって僕は
“可愛い弟”
としか思えないみたいで。

だけど一つだけ幸せなこと。

それは姉さんちを自由に出入りが出来る合鍵を貰ったこと。

合鍵をくれるくらいなら、少しは僕のことを好きになってくれたんじゃないかって。
そう思ったんだけれど。













僕の足は自然とシャワーを浴びている姉さんのもとへ向かって。



「………ねぇ」


シャー ─…


「姉さんっ」


きゅっと蛇口をひねる音がして、風呂場から響く姉さんの声。


「どうしたの?」

「…なんでいつも帰り遅いの」

「誘われるの」

「僕が誘っても姉さんは外で逢ってくれない」

「合鍵あげたじゃない」



違う。そうじゃない。
僕がいいたいのは、そんなんじゃない。



「じゃあなんで僕の気持ちを知ってて、毎晩男と逢ってくるんだよっ!」



薄いドアの向こうにいる君に大声を張り上げて。
…僕は子供だ。



「テミンは……可愛い弟なんだよ」



力ない声が聞こえて
僕もなんだか力が抜ける。


だけどね。姉さん。



ボソッ “ 僕も…男なんだよ ”



僕の声は

今日も君には届かなくて。
 

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