- JONGHYUN - 短編

□一目惚れってやつ
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JONGHYUN.side




人生がなんだか上手くいかなくて、むしゃくしゃしてた。

俺は本気でベースも歌も仲間と頑張っているのに、オーディションには受からないし親にも大否定をされる。

だけど今日もこりずに俺は。
仲間と駅前で路上ライブをやる。




・・・・・・



見物客はこの間よりはいる気がする。


でも歌いながら人々の様子を見ればちょっと聴いて去って…の繰り返しで。

だけどそんな中、女性が1人階段に座りながら僕達をじっとみていた。



(綺麗な人だなぁ・・・)


でも、よく見てみると。
一筋の涙が頬をつたっていた。










「じゃあまた金曜日な!」

楽器を片付けて仲間とばいばいをして。

俺は少し急ぎ足でホームの階段へと急ぐ。

もうあれから30分はたっていたからいないと思ったのにその綺麗なお姉さんは。

身を隠すように肩を丸めていた。



「あの〜…」

「Σ(びくっ)」


とんとん、と肩を叩くと泣き腫らしたような顔で俺を彼女は見上げた。



「あ、そこでライブやってた子だよね」

「うん。姉さん聴いててくれたよね」

「うん、歌も音も良かったわ」

「ありがとう…それよりなんで泣いてたの?」

「そ、れは…うーん…仕事も恋愛もうまくいかなくって」

あなた達の歌を聞いてたら余計涙があふれたの、と姉さんは言う。


「これからも頑張ってね」

「Σまった!」


俺は階段をのぼろうとする姉さんの腕を掴む。


「…なに?」

「また…金曜日ここでやるから…その、」


きてほしいんだ、なんて。



姉さんは俺の言いたいことが通じたのか、くすり鼻で笑って俺の頭を撫でた。



「仕事帰り寄るね」


そう言い僕の前から去っていく姉さんに、俺は言葉を失った。

あまりにも綺麗で。
大人の女性って感じで。




「名前聞くの忘れた!」


どうやら俺は、
一目惚れをしたようだ─…





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