Anniversary
□奇跡と必然の愛
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貴方が好きで好きで、好きすぎて、この想いをどうすればいいのかが解らない。
それでも貴方を諦めるなんて事は出来なくて。
この恋を百年先まで続けろと言われれば続けられる自信しかない。
貴方を好きとは素直に言った事なんて片手で数えられるくらいしかないけれど、貴方は私が言う前に全てを解ってくれていた。
だからそれに甘えて、全然自分の気持ちなんて言えなくて。
こんなことになってしまうのならちゃんと言っておけば良かった。
後悔しても遅すぎて、諦めるにはまだ早すぎる。
「キルア……」
好きだよ、愛してる。
こんなにも貴方に執着してしまうぐらいに、貴方を愛しているのに、私の言葉は貴方には届かない。
貴方にこの想いが届くのなら何度でも言う。
貴方にこの想いが届くのなら声が枯れるまで叫ぶというのに。
貴方が私にとっての全てで、世界なんて当たり前で。
だから貴方がいないだけで胸が痛くて、息も出来ないような苦しさを味わう。
何も我が侭なんて言わない。
貴方がいてくれさえすればそれでいい。
朝から一度も震えない携帯を握り締め、泣きたくなる衝動を必死に我慢した。
何度も何度もキルアの言葉が頭の中で流れ続ける。
『大丈夫。明後日までには帰ってくるから』
眩しすぎる程の太陽の光を背中に背負って、キルアは笑いながら言った。
『期待、してる』
そんな事言われたら張り切るしかないじゃないか。
お前の好物も、ケーキも、全てほぼ完成しているのに。
『絶対に帰って来るから。オレが帰る所はクラピカのとこだけだよ』
そんな事、当たり前だ。
約束なんて、する必要すらないことなのに。
『愛してる、……行ってきます』
そんな哀しそうな眼をされたら、私はどうすれば良かったんだ。
抱き締めるには体格さが違い過ぎて。
キスをするには恥ずかし過ぎた。
そんな事を考えているうちにキルアは行ってしまっていた。
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