Anniversary

□君のくれた物語
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「おつかれ!今日も良かったよクラピカ!」

「お疲れさまです」

「良かったけど、なんかあったでしょ?」

「いえ、特に、何も…」


キルアとの撮影の後も仕事をこなし、翌日、親しみやすい話し方で、無警戒になってしまう程の独特の雰囲気を持つカメラマン、ゴンは何十枚と写真を撮っただけでクラピカがいつもと違う違和感であると気付いたのだ。

確信を突かれたその問いにクラピカは視線を逸らしながら曖昧にしか答えきれず、逆にそれがゴンの問いが本当であると言っているようなものだった。


「嘘は駄目だよ?今日のクラピカ、オレを見てなかったもん。誰かになんか言われた?…もしかして、キルア?」

「本当に、何も、ないんです…」


ーーどうしてこうもこの人は解ってしまうんだろうか、何も言ってないのに…。


隠そうとしてもクラピカの考えなど、ゴンには筒抜けで、キルアとはデビューする前からの仲であるゴンはクラピカが先日キルアとの撮影であったと知っているのだ。



「本当に?キルアは思ってる事すぐ言っちゃうから、それで泣いて帰るモデルさんは少なくないんだよね」

「そう、なんですか…」



ーー私には、何も言ってくれない…


ゴンの言葉がズキズキと胸に刺さりながらも、クラピカは必死に平静を装い、それでもゴンの瞳を見る事は出来ずにいた。


「でもちゃんと実力がある子には逆に何も言わないんだけどね」

「え…?」


おっかしいよねー、と笑いながらも話を続けるゴンにクラピカは赤くなる頬を抑えるのが精一杯でそれ以上は何も言えずにいた。


ーーキルア、さんが…?自惚れても、いいんだろうか…。


ゴンの言葉がいつまでも耳に残り、それが脳内で反響する度にクラピカの心臓は破裂でもするのではないかという程に高鳴り続けている。


「だから、ね?クラピカはクラピカのいい所がいっぱいあるから、キルアの言う事は「言われてないんです」」

「…え?」


それでも自惚れてはいけない、と自身を自制し、クラピカはスタッフも帰ってしまい、ゴンと二人だけになってしまったスタジオでゴンと向かい合うように座り、キルアとの撮影での事を語り出した。





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