異世界旅行@パラレル
□望んだ世界
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綱吉(―…ここは、どこだっけ?
あぁ、夢の中か)
綱吉は、水の中のような場所にいた。
だが、ベッドに入った記憶と、なぜか息ができるという現状で、夢の中だと判断した。
ゆっくりと首を回し、辺りを見回す。
綱吉「……?」
その時、何か光のようなものを見つけた。
吸い込まれるように、自然とそちらに向かっていく。
そこには、
綱吉「………っ!!」
今朝夢で見たのと同じ、大勢で食卓を囲み、賑やかな日常を送っている自分が見えた。
―バンッ!!
そのままそちらに進んで行くと、壁のようなものにぶつかった。
透明な壁に阻まれて、そこから先に行く事は出来ない。
―バンッ!! バンッ!!
綱吉「……っ!………ッ!!!」
何かを必死に叫びながら、その見えない壁を思い切り殴りつける。
そこはやはり水の中らしく、口からはなんの音も発せられず、ただ、ゴボゴボと泡が出ていくだけだった。
―バンッ!!
一度、力一杯殴りつけ、それからその壁に額を押し当てた。
なんで………?
少年の口は、そう動いた。
周りの水と同化し、はたからは一切認識のできない涙が、目からこぼれた。