〜風の速さで走り抜ける〜
□第1走目
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「じゃあね。」
「なっ!」
待てと言うおうとした時には、青年はボールを持って走り去ってしまった。
自分を抜いたうえに、名乗っていない自分の名前まで知っている。
奴は何者なのか。
火神は立ち尽くしていた。
「 」
火神は遠くから聞こえた声に振り返った。
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「お待たせ。」
青年の言葉通り、先にコンビニの前までついていた凛之助に青年が言う。
「・・・。」
「あー、何してたか言わないとか。試したんだよ。火神をね。」
「・・・。」
「なんでって。何となくだよ。でも、流石だよ。俺の動きに反応して俺を止めようと動きかけた。」
「!」
凛之助は驚いている。
「面白いね。一年生は。」
「・・・。」
「カントクにバレたら?バレないだろー。だってカントクの家こっちの方向じゃないし。」
「あ、」
「?」
「でも、バレたらフォローしろよ。」
「・・・(汗)」
「出来ない?大丈夫大丈夫。そんなことにはならない。・・・多分。さ、帰ろ。」
凛之助は頷いた。
「あぁ!!」
「!?」
行き成り大きな声を出した青年に凛之助は再び驚いた。
「鞄・・・忘れた。」
青年はしまった。俺としたことが・・・。と続けた。
凛之助はすっと青年の前に鞄を差し出した。
「え?あ、持って行ってくれたのか!ありがとう、凛之助!」
青年は凛之助からバックを受け取った。
「じゃ、帰ろうか。」
凛之助は無言のまま頷いた。
青年たちはすっかり日が落ちた空の下を歩いて行く。
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