Lヒカアキ小説

□Magic
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とりあえず、教師たちの目から遠いところを選んだ。
行き着いた場所は男子トイレ。
隅っこでうずくまって、ひたすら涙を流した。

その瞬間だった。


「おーい、塔矢〜〜?
2年4組塔矢アキラくん〜〜?」


廊下の方から聞き覚えのある声が聞こえた。
声の主はヒカルだった。

『何故彼が此処にいる』ということよりも、泣き顔を見せたくなくて、すぐに逃げたい気持ちに襲われた。
しかし逃げ場がない。
窓を覗いても、此処は3階。

うだうだしているうちに、ヒカルが入ってきた。


「いたいた、塔矢アキラくん。
…おいおい、うずくまるなって。何か本当にオカッパの幽霊みたいだぞ?」

「・・・・・・・・・・」

「ははは、泣くなって。
わざわざ卒業式蹴ってお前に会いに来てやったんだぞ?」

「・・・・・・・・・・」


ヒカルの言葉なんて聞こえてない。
何より羞恥でそれどころではなかった。

その様子に、ヒカルは黙ってアキラをひょいと軽々持ち上げた。
お姫様だっこだった。


「?!!!」

「おー軽っvvvvよし、しっかりつかまれよ、塔矢」

「え?!ちょっ……
うわあああああああああ?!!」


ヒカルはトイレの窓を全開にし、窓に手をかけ、そのまま落下した。
ちなみに此処は3階。

ヒカルは近くの屋根にトンッと着地した。
そして、ぴょんぴょんと軽々飛び、地面へ無事着地。
ケガ人ゼロ。


「…危ないじゃないですか!!何するんですか!!」

「え〜?だって外出た方がいいじゃん」

「だからってコレはないでしょう!もしものことがあったら…」

「ねぇよ」

「・・・・・・・・・」


運動神経バツグンのヒカルが言うのだから、アキラは言い返せなかった。


「ホラ、塔矢。泣くなって。……な…?」

「……・……はい…」


ポンポンと頭を軽く叩いた。
先ほどまで驚きで乾いていた涙が、突然戻ってきた。
耐えられなくなって、アキラはヒカルの胸に顔をうずめた。

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