Lヒカアキ小説
□可愛いアイツ
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オレの将来の夢だった、塔矢との同居も無事達成して
幸せな日々を過ごしていた。
一緒に暮らしていろんな事が分かった。
アイツはオレと違って家事ができる事だとか
まるで母親みたいな面がある事とか。
もちろん、夜はオレの相手をたっぷりしてくれるけど。
そんで、今日は大事なタイトル戦がある。
でもオレだけで、塔矢は一緒じゃない。
スーツに着替え、準備万端。
玄関に向かって、靴を履き替える時だった。
「進藤…・…」
塔矢に呼び止められた。
「どうしたんだよ?塔矢」
いつものように、強がって黒のエプロンしてるけど、オレにはそれがメチャクチャ可愛い。
もーなんでこんなに可愛いんだ、コイツ。
今日は頬染めのオプション付きなんだな。
さすがは気前がいいぜ。
なんたってオレはこれから4日間、この家にいないんだからな。
「……その…ハブラシは持ったか?」
「…ハブラシ…?あ〜…それなら、ホテルにあるから大丈夫」
「そうか…。あっと…、帰りはちゃんとご飯の支度しとくから」
「おっ・サンキュー」
オレは勘付いた。
『コイツ、寂しがってる』
いくら意地っ張りな囲碁界の王子様でも、寂しい時は寂しい。
オレもメチャクチャ寂しいけど。
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