Lヒカアキ小説
□Magic
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「おっ・塔矢〜〜!」
「進藤…先輩………」
「何だよぉ、相変わらずオカッパ似合ってんなぁ」
「…余計なお世話です」
部活の最中なのか、サッカー部のジャージを羽織っていた。
ボクよりも大きな体格。
無駄のない筋肉。
思わず見入ってしまう。
進藤先輩は、相変わらずボクの髪をくしゃくしゃ掻きまわした。
「それじゃーな!塔矢」
サッカーボールを片手に去って行った。
軽い性格なのは相変わらずだ。
ふぅ、と息を吸う。
彼と逢っただけで、ボクの心臓は妙に五月蠅い。
ふと窓を見ると、今まで飾り付けのなかった木に、桜のつぼみがあった。
春が近い。
進藤先輩が卒業する。
この二つが重なり合って、切ない気持ちになったボクはその場を全速力で駆け抜けた。
『別れたくない』
それだけを一心に――――…・
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