Lヒカアキ小説

□Magic
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そして、何も進展もないまま、卒業式を迎えた。
普段、さして興味のなかった卒業式だが、アキラは真剣に舞台を見つめていた。


「――…進藤ヒカル」

「はい」


ヒカルの姿は立派な物へと変化した。
制服を着用していても分かる。
大きな胸板。
長い足。
逞しい顔付き。

アキラは見とれた。
同時に胸の鼓動が速くなる。


その瞬間、アキラの今まで隠れていた感情がうずき始めた。


『別れたくない』


自然と瞳から何かが湧き出てきた。
卒業式で泣く事は、アキラにとって自分のプライドを汚す事だった。
急いで立ちあがり、担任の教師に
『気分が悪いので、保健室に行ってきます』と言い伝え
卒業式を抜けた。


アキラの向かった先は保健室ではなかった。
式場である体育館から遠いところへ、行く充てもなく走った。


「っ・・・・・!」


瞳からは大粒の涙が流れる。



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