妄想駄文★銀魂

□新八の日常
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「う〜ん、こっちがいいかな?それとも…」
久しぶりに見た新八は野菜を両手に険しい顔をしている所だった。

「よォ」
土方はそっと新八の後ろに立つとぶっきらぼうに声をかけた。
しかし声が小さかったのかもしくは新八が集中しすぎているのか返答がない。

しばらくは黙って新八の形の良い後ろ頭を眺めていたが、それもつまらなくなり肩に手をかけた。 「おい、新八」
言いながらそのまま手を自分の方にぐっと引く。
「えっっわぁ」
新八は驚いた声を発しながら土方の方に倒れこんできた。
「よォ」
「ひっ土方さん」
新八は背中から倒れこんでいる形なので顔を少し上げると、覗きこんでいる土方とばっちり目があった。とっさに離れようとし、体制を立て直そうとしたが新八の体を包み込むように絡まった土方の腕が邪魔してそれができない。
「はっ離してください」
「…いやだ」
「離して」
「いやだ」
「はなせェェ」
土方は自分の腕のなかで必死に暴れている新八を楽しげに見つめた後、次の瞬間には米俵のようにヒョイと新八を肩に担ぎ上げていた。
「なっ何すんですか!おろして下さい土方さん!!」
人が沢山いる顔なじみのスーパーでこんな所見られたらたまったもんじゃないと、新八はよりいっそう暴れだした。
「おい新八、落ちるぞ?」
冷静に放った土方の一言。その言葉に新八は一瞬にして固まった。新八の体から力が抜ける。そして大きな溜め息が一つ。
「もぅ何がしたいんですか。久しぶりに会ったと思ったらこんな所で担ぎ上げられるし…」
非常識だなどと土方にむかってぶつぶつ呟く。
その言葉を聞いて土方はニヤリと口の端をつり上げた。
「わかった。じゃあ今から屯所に行くか。二人でじっくり話せる」
言うが早く、スタスタと新八を担いだまま歩き始める。
これからの事を考えているのか、土方の顔には怪しい笑みが広がっている。
新八からはその笑みが見えないが、何か寒いものが背中に走った。
土方がいつものポーカーフェイスに戻そうと顔を引き締めたその時、『あっ』と土方の動きを制止するように新八が声を上げた。
「忘れてた!土方さんおろして下さい。トイレットペーパー買って帰らないと銀さんが」
「銀ぱつ?知ったこっちゃねぇな」
“銀さん”という言葉を聞いたとたん、一気に眉間にシワがよる。
あークソ良い気分だったのに。あのクソ天パ、今度会ったらしめる。
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