妄想駄文★銀魂

□始まりのコイ
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「そうだよな、一人で来るわけがないよな。…いったいどんな女を連れ込んじまったんだ?」
ため息をつきながらも、そっと起こさぬように相手の顔をのぞき込んだ。
 ん?何かこの顔みたことがあるぞ…たしか近藤さんの追っかけている女…お妙
花見の時の記憶が甦ると同時に土方の背からどっと汗が吹き出してきた。
 まっまじかよ…近藤さんの思い人に手ぇだしちまった。しかもあのゴリラから育てられてそうな凶悪怪力女を
・・・どっどうするよ 昨日の俺!!今日の今の俺にあやまれ!!!
とりあえず落ち着こうと、近くに落ちていた自分の隊服のポケットをまさぐりたばこを探す。
目当てのものを発見し口にくわえ、今度はライターが無いことに気づいた。目線でライターを探しているとお妙の
くるまっているシーツの間からライターの頭が見えた。
「ちっあんな所にありやがる。…しかたねぇ起きんなよ」
よっと言いながら少しシーツをめくってライターを取った。
取った瞬間土方の表情が一瞬にして曇った。めくれたシーツの間からは雪のような真っ白な…平らな胸が覗いたから。
 んん?おっおかしーぞ?いくら胸がないからと言ってもここまでないのは女としておかしい。女として…女として?
土方の脳裏に、この前花見をしたときに万事屋にいたお妙そっくりの、お妙の弟の顔がよぎった。
 眼鏡の確か名前は…
「新八…」
小さく呟いてからもう一度顔を見る。目をつぶっているので分からないが、頭をみるとたしかにお妙のように髪が長くない。
「そうか、弟の方か。よかった近藤さんに合わせる顔無くなるところだったぜ」
ははっと笑いライターで火を付ける。目線を自分の指に落した。震えている。背中にはさっきより大量の汗。
 あれ?おかしくねぇか?さっきよりやばい状況になってるじゃねーか。弟って事は…男じゃねーのか?
土方の頭の中に“男”“おとこ”“オトコ”という文字がぐるぐる回る。少し震える手で確信を得るためにシーツをそっと持ち上げのぞき込んだ。
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