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□戦場の女神〜ギロロVersion
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ここはバルハラ第一級戦闘領域の最前線。
援軍の到着もなく、俺は孤軍の身となる。

体中に走る激痛。
銃弾の雨を掻い潜り、何とか自軍治安地帯まで辿りつく。

この血と痛みは生きている証だ。
もう一度、お前に逢うまでは死ねん。
遠い異星で待つ愛しい夏美。
このザマを見たら、お前は何と言うのだろうか。

(何やってんの、ギロロ!全くだらしないわね)

そんな怒ったような顔をするな…もっと優しい顔を見せてはくれないのか?

(甘えてんじゃないわよ〜ほら、早く立ちなさいよ。ギロロ、あんたそれでも軍人!?)

フフフッ…
夏美らしいな…
お前に逢う為に、俺は必ず地球へ帰る。

(約束よ、ギロロ)

別れ際、涙を浮かべそう言って微笑んだお前を、俺は支えに戦ってきたのだ。

このベルトと、その中にいるお前に誓って…俺は必ず生きて地球に帰るぞ。

(ギロロ…こっちよ。ほら頑張って…)

お前の声は俺の命を導く旋律。

オーディンも裸足で逃げ出す、俺の女神よ。


ああ…遠くに光が見える。
眩しい。
あれは自軍陣営の明かりだ。


助かったのか、俺は。

お前のおかげだ。



待っていてくれ!
夏美ーっ!!

「…待ってるわよ」

リアルな幻聴だ。
夏美の声が間近に聞こえる。

「ギロロってば!」

ふぉっ?

「ちょっと危ないじゃないの〜!おイモが焼ける前にギロロが焼けちゃうわよ!」

あ…?

夏美??

「たき火の前でうたた寝なんて危ないわよっ」

「夏美…」

ゆ…夢だったのか。
俺としたことが…

「…あたしの夢見てたの?」

「ふえっ!?いや…その…つまり…」

「うふふふっ」

うふふふ…って、まさか、俺は、寝言で夏美の名前を!?

ぐわぁーっ!!

「だから、待ってるわよ」

「何がっっ?何がだっ!!!」

「ん?だから、おイモが焼けるの…でしょ?」

「あ…ああ…そうだ!夏美!もう少しだからな…」

ホッ…

「…うふふふ」

???

「待ってる…からね♪」

夏美は意味ありげに微笑んだ。


その微笑みは…その微笑みは…何だ…何だ…何なんだ!!


…一体俺は何を言ったんだ!?
一体お前は何を聞いたんだーっ!?


教えてくれーっ!?
夏美ぃーっ!!




END
 

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