LOVE MODET
□戦場の女神〜夏美Version
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庭から芳しい香りがする。
すぐにわかる。
ギロロがおイモを焼いてくれてる。
きっと、あたしのために…
傍で待っていよう♪
えへへ、食いしんぼうだな、あたしって。
あれあれ?
ギロロったら、たき火の前でうたた寝してる〜。
危ないなぁ〜もぅ!
ヤケドしたら、大変じゃない。早く起こさなくっちゃ。
プッ…ギロロってば何の夢を見てるんだろ…
しかめっ面したり、にやけたり…
イイ夢なのかな?起こすのは、もう少し待ってあげようかな…
あたしが見張ってれば、ヤケドしなくてすむもんね。
ん?
寝言…?
聞き取れないな…
…え?
聞き違い?…じゃない。
今…
あたしの名前を呼んだ。
待っていてくれ…夏美…って。
あたしの夢を見てるの、ギロロ?
どんな夢?
覗いてみたいな。
気になるな…
待っていてくれ…か。
またあたしがピンチの時に、あんたが助けに行こうとしてるのかな…?
うん、あたし、待ってるから。
あんたが助けに来てくれるの、信じてるから。
あたしも頑張るから。
だから、助けに来てね、ギロロ。
今はあたしが、あんたのこと、ヤケドしないように守ってあげるから。
「…待ってるわよ」
声出ちゃった!
「ギロロってば!」
もう起こしちゃえ!
「ちょっと危ないじゃないの〜!おイモが焼ける前にギロロが焼けちゃうわよ!」
まだ寝ぼけてる…
珍しく隙だらけのギロロ。
「たき火の前でうたた寝なんて危ないわよっ」
「夏美…」
やっと目が覚めたかな?
「…あたしの夢見てたの?」
「ふえっ!?いや…その…つまり…」
「うふふふっ」
はっきり聞こえたんだもん。ギロロ、寝言であたしの名前を呼んだのよ。
返事をあげる。
「だから、待ってるわよ」
「何がっっ?何がだっ!!!」
「ん?だから、おイモが焼けるの…でしょ?」
「あ…ああ…そうだ!夏美!もう少しだからな…」
咄嗟に話をすり替えた。
だって凄い慌てぶり…
そんなに慌ててたら、あたしだって色々想像してしまう。
「…うふふふ」
あ、つい…笑い声が。
「待ってる…からね♪」
これじゃ意味深かな?
でもね…
あたし、嬉しかったんだから。
ギロロが夢の中でもあたしを助けてくれるって。
だから、ね、そんな顔してないで、一緒におイモ食べよう…ね、ギロロ♪
END