LOVE MODET
□gloomy blue ,healing pink
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「何かあったのか?」
人の顔を見るなり、ギロロはそう言った。
「ううん別に。何でもないけど…何で?」
何で?って聞いたのに、ギロロはそうか…とだけ言って、どこかへ行ってしまった。
…何で…わかったの?
…顔には出してないつもりだったのに。
別に、たいしたことじゃないのよ。
それに、あんたに言ったって、どうにかなることじゃないもの。
…仕方ないじゃない、夏美…
「夏美」
名前を呼ばれて振り向くと、ギロロがマグカップを持って立っていた。
「何これ?」
手渡されたのは薄桜色の…お茶…?
湯気からはちょっと不思議な香り。
「ただの茶だ。ケロン星では、戦場でよく飲まれるものだ」
戦場って…一体どんなお茶よ〜〜っ
「長期戦下での精神疲労回復に使う茶だ。…飲むと気分が落ち着く」
あ…
「…ありがと」
コクッ
…ちょっと苦っ。
でも、喉からお腹のとこまで温まっていく気がする。
心の中も…何となく
…話してみようかな
「…あたしってさ…いつも元気で明るくて頑張り屋で…そんなキャラに見られちゃうんだけど…なんか疲れちゃった。羨ましいとか言われても…あたしだって…」
…あたしだってみんなが羨ましいのに…
「…羨ましいって思う時もある。普通に両親がいて、普通の家庭で。あたしに無いもの、持ってるじゃない。みんな…それが当たり前過ぎてわからないだけよ…」
でも、でも、そんな事、口に出せない。
言ってどうなるわけでもないんだし。
そんな重くって、誰も聞きたくないよ、そんな話。
…あたしはいつでも、笑ってなくちゃいけないんだ…
「お前の友人とやらは、何もお前に無理をさせたいわけじゃないだろう?」
え?
「羨ましいと、そのまま言えばいい」
「い、言えるわけないじゃない!みんな…あたしに…そんなの求めてないもの…」
真っ直ぐにあたしを見つめるギロロの視線が、痛い。
「背伸びしているのは、夏美自身じゃないのか?」
ズキッ…
胸が痛む…
「…そうなの…かな」
「何が辛いとか寂しいとか。友人なら打ち明けて欲しい時もあるだろう。少なくとも、俺はそう思う」
あたし自身が…元気で明るい『日向夏美』を演じてたのかな…
「…言っちゃってもいいのかなぁ…」
「それがお前の本音なら無理することもあるまい」
ギロロの声はとても温かかった。
胸のしこりが溶けてくみたいに。