LODE MODEU

□優しい時間
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角切り焼きイモは格別の味わいで、ギロロと一緒に食べながら、あたしは自然と笑顔になる。
オイモへの満足感と、それからもう一つ。
「あたしもお兄さんて存在に憧れたな〜」
ギロロがオイモを吹き出した。
「な、夏美っ!?」
「ほら、あたし『お姉ちゃん』だからさ、『お兄ちゃん』に甘えてみたいな〜って」
ニッコリ笑ったら、向かい合った顔は真っ赤になっている。
「だ、誰が甘えてなんぞ…」
「別にあんたが甘えてるなんて言ってないじゃな〜い」
口に広がるオイモの甘さと、ムキになるギロロの反応についつい頬が緩む。
「フ…フン、貴様には弟の立場はわからんだろうな」
「なによ、可愛くない弟ねぇ〜」
なんて、話しながら。
いつも以上に、オイモを囲んでの場が和む。
地球人でも宇宙人でも同じなんだ。
「兄弟っていいよね…」
あたしが呟くと、ギロロは返事の代わりに、オイモをヌッと差し出した。
「一番デカいのが焼けたぞ」
照れ臭そうに見える表情は、ギロロもそう思っているのだと、あたしに教えてくれている。
「ありがとっ」
でね、このオイモはわざわざ、あたしのために?
そう訊いてみたいけど、この優しい時間を楽しむために、それは言わないでおこう。




end
 

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