LOVE MODEV

□『Merry Christmas』 
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あたしはこの頃、ギロロはあたしのこと、好きなんじゃないかと、思うことがある。





『Merry Christmas』





「やだ〜雨降ってる、せっかくのクリスマスイブなのに」

あたしがそう零すと、ギロロは不思議そうな顔をする。

「雨だと何か不都合でもあるのか?」
「そういうわけじゃないんだけど…どうせ降るなら雪の方がいいし」

そう言えば、ますます訳が分からないという表情になる。
ギロロに言わせれば雨だろうが雪だろうが、空が晴れてないって意味では同じなんだって。

「別に洗濯物が干せないとか、そんなレベルじゃないのよ」
「じゃあ何だ?」
「うーん…気持ちの問題?まぁ、アンタには言ったって分かんないわよ」

だってそうでしょ?
雪ならロマンチックだけど、雨じゃあ何か特別ってこともない。
お買い物行くのに、傘をささなくちゃいけないのも大変なのよ。

「フン、貴様のヘ理屈なんぞ、俺には理解出来ん」
「へ…って!何よ、アンタにはロマンチックのカケラもないだけじゃない!」


なんて、こんな言い合いはいつものことなんだけど。

だけど、こんな夜には。

アンタはあたしを呼び出すの。

厚手のコートにマフラーに、アンタがくれた手袋に。
重装備のあたしをソーサーに乗せて、雲の上まで連れ出すの。


「わあ…お星様がいっぱい!」
「雲の上はこんなもんだ」

そうね、厚い雲に覆われていて分からないけど、雲の上にはいつも満天の星がある。
その仏頂面に隠れて時々見えなくなるけど、アンタはいつもあたしに優しい。

ねぇ、ギロロ。何であたしをここに連れてきたの?

それを訊けば、アンタは赤くなるだけできっと、ホントのことは言ってくれないんだろう。


「ねぇギロロ…」
「何だ?」


「メリー・クリスマス」
「…ああ。メリークリスマス」


そんなだけでも照れ臭そうなアンタに、それ以上は言えないけれど。


あたしはこの頃、アンタはあたしのこと…好きなんじゃないかと、思うことがある。
それはあたしの思い上がりなのかな?

それとも?

それとも…。


確かめるのはちょっと恐い。

だから今は、これだけね。
満天の星空と、トナカイのお鼻より真っ赤なアンタに、メリークリスマス!






end

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