short story

□君専用のプレゼント(カイリン)
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「うわあ…やばい」
私は目の前の光景を見てそう呟いた。その光景とはメイコ姉はいつも通りに朝ごはんを作っている…けど何故かカイト兄の周りには綺麗な包みや大きな袋を持ったミク姉とルカちゃん、せっせと飾り付けの準備をしているレンがいた。
なんで忘れてんの私…今日は…
「ハッピーバースデーお兄ちゃん!」
「カイトさんには色々邪魔されましたゲフン感謝していますよ」
「ルカ、僕今怖い事聞こえた」
遠くからカイト兄とミク姉とルカちゃんの声が聞こえて会話が凄く気になったけど、私はリビングの前でどうしようどうしようと悩みまくっていた。
カイト兄の誕生日になにプレゼントどうしようとか考えてたのに、大好きなカイト兄だからどんなサプライズにしようとかずっとずっと考えてたから忘れない筈だったのに。ん…サプライズ?
私は何かを思い付くと急いで自分の部屋に戻るとゴチャゴチャに物が散らかっている部屋から青いラッピングリボンを見つけ出すといつものカチューシャを外してそれを付けてまたリビングに戻った。
ただの思い付きだけど、カイト兄はもしかしたらどん引きしそうだけど…私は思い切ってカイト兄の所まで駆けた。
「あ、リンちゃんカチューシャ変わ…」
「カカカカカカイト兄!!私を受け取って!!!!!」


「一瞬なんだと思ったけど…プレゼントなんか別にいいのに」
「私の気が済まないの!」
只今朝食が終わった後、カイト兄は私の事情を聞いてハハハと笑った。数分前の衝撃発言にカイト兄はビックリし過ぎて尻餅をつき、ミク姉とルカちゃんは私とカイト兄を見比べて「まさかもう…」とか二人で言っていて私はあわあわと自分の発言に慌てる始末だった。
「お兄ちゃんどうするの⁉」
「カイトさん、リンちゃんに危うい事をしたら…」
ミク姉とルカちゃんがそんな事を言ってる側ではカイト兄は腕組みをしながらうーんと唸った。私は期待の目でカイト兄を見ていると数秒後カイト兄はあ、と思い出したように言った。
「アイス買いに行こう」
「えっ?」
私もミク姉もルカちゃんも期待していたけど予想外の発言みんな間の抜けた声が出た。
「朝冷蔵庫見たらアイスもう来れてたからね、リンちゃんも行く?」
カイト兄はハンガーに掛かっているいつもな白いコートを身に纏いながら私の方を向いて聞いてきた。私はしばらく呆気に囚われていたけどカイト兄の問いかけにいつの間にか頷いていた。


「ひゃー寒い!」
「風が少しばかり強いね」
外に出てみると日は出てるのに風が吹いていてマフラーをしてもセーラーの上にカーディガンを着てもその熱は一瞬の内に消えていった。私は自分の肩を抱いて震わせながらチラッとカイト兄を見た。カイト兄はニコニコと微笑みながら歩いていた。よくこんな寒くてもアイスを買いに行けるなと思った。やっぱりカイト兄は寒さには強いらしい。じゃあカイト兄は冷たいのかなとか思ったりしたけど前に遊び半分で抱き付いたら温かかった…お日様の匂いもしてにやけてしまった。
「何のアイス買うの?」
「うーん、今お金ないからガリガリ君かな」
「当たり棒出ればいいね!」
「そうだねえ」
一回も出た事ないけどね、と笑うカイト兄を見て私も釣られて笑ってしまった。
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