short story

□君専用のプレゼント(カイリン)
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そうやって会話をしている内にコンビニに着いた。私は特にコンビニへの用事はなかったので外で待つつもりだった。
「あれ?リンちゃん中入らないの?寒くないの?」
「うん大丈夫だよ!寒いのにも慣れたから」
「そっか…じゃあすぐにアイス買ってくるね」
とカイト兄はそう言ってコンビニの中へと入っていった。私はコンビニ隅の方に移動すると壁…というかガラスに背中を預けた。そして冷え切って真っ赤になった手に息を吹きかけて温めた。歩いていたから気付かなかったけど毎日出しっぱなしの太ももも薄い赤色に染まっていて少し痛々しかった。やっぱりもっと厚着してくれば良かったと今更ながら後悔した。
というか思ったけど誕生日なんだしアイスは私が買えば良かったんじゃないの?と思うとまた後悔が押し寄せてきた。まだ何もカイト兄にあげれてないよ…。そう悲しい気持ちになっていると
「リーンちゃん!」
「カイトに…ぎゃっ」
私はカイト兄に呼ばれたのでそっちを振り向こうとしたらいきなり頬に熱いのが触れた。私はその熱さに耐え切れずすぐに後ろに下がった。なんだろうとカイト兄の手元を確認すると
「肉まん…?」
「うん、リンちゃん外で凍えてたでしょ?」
見られてたんだ。私は俯いているとよしよしと頭を撫でられた。いつもの大きなリボンではなくラッピングリボンを付けていたので直でカイト兄の手の温もりが伝わってくる。
「待っててくれてありがとう、寒かったよね」
「寒くないもん…大丈夫だもん」
「ふーん…」
「きゃあ」
一瞬にして私の視界は真っ暗になった。だけどさっきの手の温もりが私の身体全体に染み込んできた。私、カイト兄に抱き締められてる。
「やっぱりリンちゃん冷たいよ?」
「カイト兄が暑苦しいだけだよ」
「ええ!?」
「でも好きだよ」
と私はカイト兄の背中に回した。カイト兄の体温だけじゃない、私に気遣ってくれる心も、私を呼んでくれる声も、全部が好きなの。
「リンちゃんはツンツンなのかデレデレなのか分からないよ…」
と私の頭から呆れたような声が降ってきて、でもぎゅってしてくれて、嬉しい。
ずっとこうしたいけど…だんだんと辺りがざわざわとし出して私は一気に現実へと引きずり戻された。ここは昼間のコンビニの前だ。
「カカカカイト兄!離して!!」
「え?うん…」
カイト兄は名残惜しそうな声を出しながら私を離した。カイト兄は鈍感なので周りなんか気にしてないのは分かってるけど場をわきまえてほしい。いや、カイト兄の流れに乗せられた私もだけど。


私はカイト兄から肉まんを受け取るとすぐに口に入れた。もうお昼過ぎだったのでお腹は空腹状態だ。多分家にも昼食が用意されてるから早く帰らないとメイコ姉に怒られるんだろうなあ。でもそう思っていても足取りは重くて思うようにスピードは出なかった。しかもカイト兄は私に歩幅を合わせてくれているので申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「カイト兄、私ゆっくり帰るから先帰っててもいいよ…」
「どうして?僕はリンちゃんと出かけてるのに」
顔を見なくてもカイト兄は屈折のない笑顔なんだなと思った。私は余計に悲しくなってしまった。すると
「リンちゃん、手を繋ごうか」
と突然カイト兄が言ってきた。私は目を丸くしてカイト兄を見た。どうして?と言えずにただカイト兄を見つめるだけだった。
「リンちゃん今日は僕の願い聞いてくれるんでしょ?久しぶりにリンちゃんと手を繋ぎたいな」
ニッコリとしながらそう言うカイト兄は手を差し伸べた。それを見て私は泣きたくなったけどぐっと我慢してカイト兄の手に無言でポンっと自分の手を置いた。カイト兄はしっかりと握ってくれる。
「リンちゃんの手は小さいし冷たいね、でも一番繋いでて安心する」
そう言われて私は全身が熱くなった。とっても嬉しいの。
「あ、あとリボン帰ってきたらいつものに戻して欲しいかな」
「え?」
カイト兄は何を言ってるのかと思ったけどそういえば私ラッピングリボンだったね。すっかり忘れてた。
「僕はいつものリンちゃんが好きなんだからね」
「う、うん…」
私はカイト兄の手をもっと強く握った。そしたらカイト兄も握り直してくれた。それで夢じゃないんだな、現実なんだな、と思わしてくれた。

「カイト兄、お誕生日おめでとう」
「うん、ありがとう」
ずっと言えなかった言葉を伝えるとカイト兄は余計に上機嫌になっていた。



おわり










**********


そんな訳でカイト誕生日おめでとう!
カイト廃にかけてカイトの誕生日は二回どうしても祝いたかったので間に合ってよかったです…!
そしてやっぱりカイリンは癒されますね。温かい雰囲気がとてもいい…、可愛い。
こんな風に書けた感じにしてる感があまりないのですが楽しく書けたので満足です。


読んでいただきありがとうございました!
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