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□第四章
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ナンバー5との再会もつかの間、ナンバー2は大人たちに引きずられて城へ戻ってきてしまった。
まったく大人は融通がきかない。普通に歩けると言ったのに逃げ出さないようにと四方を兵士で固めるのだから…。

城に入るなり、世話係らしき男がナンバー2を怒鳴りつけた。

「王子、勝手に出歩いてはなりません!」

(だから謝ってるだろ)

ナンバー2はそう思ったが黙っていた。大人に反抗したって聞く耳を持たないだけだ。

「最近は魔女があの森に出歩いては悪さをしているといいます。もし王子の身に何かあったら…!」

魔女?
その言葉を聞き、ナンバー2はナンバー5が言っていたことを思い出した。
白雪姫と同じだ、と。そのように言っていなかっただろうか。
その白雪姫には魔女が出てきたはずだ。それは確か妃が化けた姿だったはずだが…。

「魔女か…」

大人たちに一人にしてほしいと言い、ナンバー2は自分の部屋(らしき場所)に戻ってきて考えた。

言われてみれば、どう考えたって白雪姫にしか思えない。
ナンバー5はあんな境遇だし、僕は…なんで王子なのかはわからないけど。
それにこれは夢じゃないかもしれない、なんて。でも確かに痛みを感じた。

「…今さらぐちゃぐちゃ言ったってしょうがないよな」

ナンバー2は大きなベッドに腰かけて部屋を見渡した。

辺りがきらきらすることから考えて、ありとあらゆる場所に宝石か何かが散りばめられているのだろう。
無駄に豪華だ、と思った。
ナンバー5が見たら「趣味悪いなぁ」と言っていただろう。


そういえば、森に残してきたナンバー5は大丈夫なのだろうか。

「大丈夫かな…」
あれでも意外と抜けてる所あるからなぁ。

ナンバー5も「これは白雪姫」だという自覚がある。
そう簡単にヘマしたりしないだろうが、やはり心配だった。
いかんせん服装が服装だ。彼女からしてみれば、スカート丈が邪魔で仕方ないだろう。ナンバー5のあんな服装、滅多に見れない。

「…かわいかったけどね」

もし目の前にナンバー5がいたならば脳が揺れた感覚を再び味わっていたことだろう。


せっかく時間もあることだしと思い、ナンバー2はゆっくりと白雪姫について思い出すことにした。

白雪姫は、魔女に美しさを妬まれてしまいました。
ある日、狩人は白雪姫を森へ連れていきました。
魔女が狩人に白雪姫の命を奪うよう命令していたのです。
ですが、心優しい狩人は白雪姫を殺せませんでした。
白雪姫を森の奥へと逃がしたのです。


「…ちがう、そんな所はどうだっていいよ。もっとあと…」

ナンバー3に話してもらった白雪姫を記憶の隅から蘇らせる。
小人に出会ったシーンはカットする。そのあとが重要なのだ。

白雪姫は留守番の間、魔女の罠にはまって、毒林檎を食べてしまうはずだ。
…それがもし、ナンバー5の身に起こったとしたら?


ナンバー2は頭を抱えた。
いや無い絶対無いナンバー5に限ってそんなことは。彼女ならそのくらい避けられるだろう。

「…早く落ち合わなきゃな……」


…それにしても、どうやって物語が終わったかは思い出せなかった。
ただ、幸せそうだったナンバー3、吐きそうな顔をしていたナンバー4、それを呆れて見ていたナンバー5は思い出せた。
更にその光景をナンバー1と二人で笑って見ていたような。


「……って、あれ?」

ナンバー2は回想をやめた。
「ナンバー1達、どこにいるんだろ…」
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