保健室

□お礼とか、
1ページ/1ページ



「先生」



ガラリと突然ドアが開き、その先には美形な男子が一人もたれかかっていた。


「藤くん、どうしたの?」


「頭痛い」



見た感じ、痛そうな顔はしていない。

むしろ授業がだるくて来ました、みたいな顔をしている。


それでも、滅多に人の来ない保健室に生徒が来てくれることは嬉しいことであり


逸人のその怖い顔がにやけた。




「最近誰か保健室来るか?」



自分用ベッドに藤は座り、ぽんぽんと隣を叩いて、来るように合図した。


それに答え、逸人は藤の隣に座る。


体格の差か、逸人が座ると、ずいぶんとベッドが軋んだ。



「うー・・ん、藤くんくらいだよ。」



「ふーん」


そういって頬杖をつく藤の後すぐに、ハッと思い出したように逸人が口を開く。



「あ、あと、最近は明日葉くんや美作くん、それに女の子まで来てくれるようになったんだよ」



「・・・・」


藤は逸人を見つめながら、その話を聴いていた。


「藤くんのおかげだよ、ありがとう」



嬉しそうに微笑む逸人は傍からみれば、怖いものだが


藤から見れば、それはもう可愛いものだった。



「俺のおかげ・・、か」



「うん、ありがとう」



にこにこと微笑んで藤を見つめる逸人を見て、藤がピンっと思いついた。




「お礼とかしてくれるわけ?」



逸人はキョトンとした顔を一瞬見せたが、すぐに微笑んで、「藤くんが言うならば」といった。




「ふーん」





「なあ、ハデス、眠い」



「あっ、ごめんね!ゆっくりして」



逸人は、ばっと立ち上がりその場から立ち去ろうとした。


が、藤が逸人の手首をつかんだ。




「どうしたの、藤くん」




またしても、藤は、ぽんぽんとベッドを叩いた。



「ここ?」



逸人は、ベッドに次はさっきよりも奥に座った。




「寝よ」




「え」




藤はそのまま布団をかぶったが、逸人は座ったままで、藤の体は半分以上布団を被れていなかった。




「寒い、」



「へ、あ!ごめっ・・」




藤は逸人の腰をゆっくりと押して、ベッドに横たわる様にした。




「先生、背高すぎ」


「邪魔でしょ」


「別に」



逸人から見れば、藤の行為は、ただ寒いから人肌の暖かさが欲しかったのだ、と思っていた。




だが、反対に藤の方は、恥ずかしがる姿を見たいわけであり、布団の中でもお構い無しににこにこする逸人にいらっとする。



「ハデスー」



「なに、ふじくっ・・ひゃっ!」


藤は逸人の服の中に手を突っ込んだ。


「冷たっ、藤く、」


「あったけー」



ぺたぺたと触る藤に少しあたふたする逸人。



だが、恥ずかしがる様子はまだない。




藤はむっ、として、逸人の胸の突起をつまんでみた。




「ひあっ!ふ、藤くん?」


さすがの逸人も自分で感じてしまったことを自覚して、恥ずかしくなった。



その恥ずかしがった顔をみれた藤は、大満足であったり、。





「どーしたんだよ、」


藤は突起をつまんだり、ひっかいたりしながら、問いかける。



「な、んでもないよ・・・っ」



顔を真っ赤に染めて布団に顔を埋めるその姿は、可愛くて仕方がないと、チャイムが鳴るまで、藤は繰り返していた。



―――――――
  END
―――――――

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ