稲妻

□、あったか
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季節は12月の冬。


「はぁ、」


白い息を吐くのが案外楽しかったりする。


素肌を出した手は赤くなり、両手を擦り合わせた。




はぁ、はぁ、と息をかけて手を温める仕草をした。


「・・・さむ」




ぽつりと呟いた言葉は周りの騒がしい声で消えた。




「源田!はよ」


後ろからぽん、と背中を叩かれ、目を向けると佐久間がいた。



「さっみーな」


「そうだな」



佐久間は源田の手に目がついた。



「何、手袋忘れたのかよ」


まさか気にしてくれるとは思わなくて吃驚した。


「え、あ、あぁ」



情けなく笑う。


、と

「ん、」


佐久間が片方の手袋を脱いで源田に差し出した。


「使えば、」


源田は慌てて佐久間の手を握った。



「さ、寒いだろ!いいから俺は!」


「いや、お前の手が冷てーよ」



そう言われて源田はバッと手を離し

「わわ悪い!」




「つか早く取れよ」


そのまま佐久間は手袋を源田に押し付けた。



「え、でも・・」


「早くしろよ」



そう言われ渋々手袋をつけた。



「ほら」


佐久間は手袋をはいていない手で源田の手袋をはいていな手を、握った。



「こうしたら寒くねーだろ?」


顔を寄せて、にこ、っと笑う佐久間に


源田の胸がどきりと飛び跳ねた。




「あぁ、そうだな」







いくら寒くても、佐久間がいると



があったかくなるよ。

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