稲妻
□、もしも
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「――でさ、鬼道がさ」
「あぁ」
pppppp、pppp
突然佐久間のポケットから着信音がなる。
「あ、わりー」
「彼女か?」
「あぁ」
最近佐久間は彼女ができたらしい。
可愛い、と評判の子で、佐久間は付き合えてとても嬉しそうだった。
その子の事を話すと嬉しそうで、頬を赤く染めた。
その度、俺の胸が締め付けられて、吐きそうになる。
“俺だって佐久間のことが好きだ”
なんて言えるはずない。
だって俺は男だから。
でも、
もしも、俺が女だったら、“好きだ”と伝えることだけでもできたのかな。