碧の本棚

□プチ同棲生活 五日目
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『ねーねー山グッチーくん』
「…あのさ、それって俺のこと?」
『ん?君以外に山口って居るの?』
「いやまぁ多分居ると思うけど、その言い方だと俺みたいだね」
『そだよーねぇちょっとこの間あった話聞いて?』
「何?」
『あのね、私、大ちゃんと今一緒に住んでるの知ってる?』
「えっマジで!?」
『うん、マジで、それでこの間大ちゃんがちょっと外出してた時のことなんだけどねー』
「あ…うん」



『あの時私はとても重大な問題にぶち当たりました』
「どっどんなっ!?」
『私はプリンが大好きなのです』

苗字さんがとても真剣な顔で話すからこっちも真剣に聞いてたのに、えっプリン?

『あの時冷蔵庫には大ちゃんが買ってきてくれたプリンがあったのです』
「…うん」
『でも私、よく宿題するの忘れるでしょ?だから大ちゃんが“宿題終わるまで駄目”って』

あぁなんとなく話が読めてきた…

『大好きなプリンがすぐそこにあるのに宿題をしなくちゃいけないなんて、集中出来なくて』
「うん」
『私ね、食べたくて食べたくて仕方なくて、それで思い付いたの!』
「えーっと、何を?」
『大ちゃんが買ってきてくれたプリン食べちゃいけないなら、自分で買ってきて食べればいいんだーって!』
「あーなるほどね…」

やっぱりそうなるんだね予想はついたよ、うん

『でねー自分で買ってきて食べてたら帰ってきた大ちゃんに見つかっちゃって』
『“名前、俺さ、宿題終ってからって言ったよね?”って超絶鬼スマイルでとっても怖かったのー』

ある意味それだけで済んだ 苗字さんはすごいと思う

「ねぇ苗字さん」
『なぁに?山グッチーくん』
「宿題はちゃんとやろうか」
『……はい』




プチ同棲生活 五日目終了

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