Boys

□手紙
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 引きつった笑顔を装いながらポケットを押さえていたが、東條はその手を退けて手紙を抜き取った。
「あっ、ちょっ、見るな!」
 悲痛な抗議も虚しく、東條に手紙の内容を全て読まれてしまった。
「…う〜わ〜…ラブレターじゃん」
「…うん」
 棗はもう諦めモードで白状することにした。
「でもコレ…ラブレターって言うかなあ…名前とか学年とか、何も書いてないし…」
「しかもさぁ、好きになる『予定』ってどういうことよ?好きじゃねぇのか?」
「わかんない…どうすればいいかな…」
「よし!思い当たる節あるから聞いてみよう!」
 そう言うと東條は颯爽と教室の方へ消えていった。
「思い当たる節って…」
 嫌な予感が渦巻き、急いで東條を追い掛けた。



「なあ、これ誰書いたか知らねぇ?」
 教室に入るなり、東條は仲のいい春日と椿に手紙を見せた。
「何ソレ?」
「ちょっと見せて」
 二人が手紙を受け取って中身を見ているところへ、棗はバタバタと教室に入ってきた。
「何やってんだよ東條!」
 慌てて椿の手から手紙を奪い、東條をキッと睨み上げた。
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