Boys

□手紙
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 知らないフリをして、返事を書くかどうか直接確かめようとしているのなら…さっき言ったことにも納得がいく。

 でも、もしそうだとしたら…椿は俺のこと──



 ──違う違う違うっ!

 椿がそんなヤツなわけないだろ!



 ──結局、俺には椿を問い詰める勇気もなく、心の霧が晴れないまま一日が終わった。

 俺は本当に小心者で臆病だから、いつも心残りな結果に終わってしまう。

 正直…こんな自分なんか嫌いだった。

 だけど…そんな俺を好きになってくれたヤツがいるんだ。

 いや違う…好きになってくれそうなヤツ、か。



 ──翌朝。

 手紙の返事を書こうか一晩中悩んだせいで、棗は寝不足だった。結局書かなかったから無駄骨だったが。
 眠い目をさらに憂鬱そうに細めて、すし詰め状態の満員電車を睨む。人の波は立ち止まることを許さず、押し寄せる人混みの力で棗の体を電車の中へ流し込んだ。
 150ちょっとしかない棗の体は容易く背広の男たちに挟まれ、全く身動きが取れなくなってしまった。いつものこととはいえ、気分は最悪だ。
 しばらく電車の揺れをやり過ごしていると、下半身の辺りで妙な動きをする人の手の感触に気付いた。
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