Boys

□宝賀
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 バタバタと各自が席に着き、朝のホームルームが始まる。
 棗は浮かない様子で視線を泳がせていた。前の席に座っているのが椿なのだ。ついでにいうと右後方が春日で、東條は彼らから遠く離れた廊下側の一番後ろにいる。

「今日は通常通りの日課です。1校時の化学は教室で行うので──」

 担任の宝賀の声を聞き流しながら憂鬱そうに窓の外を眺めていると、椿がプリントを後ろ手に回した。

「あ、ごめん」

 ぼーっとしていて棗は反応が遅れた。謝る棗の方を振り向いて、椿は小声で耳打ちした。

「…さっき東條と何話してた?」

 その言葉に驚いた棗は口ごもって俯く。

 椿じゃない…と、思うんだけど…



「気をつけろよ高森。手紙書いたのアイツかもしれないぜ」

「えっ…!」

 思いもよらない言葉に大声を上げそうになる。

「ど、どうして?」

 口元を押さえながら極力小さい声で尋ねる。

「アイツやたらお前に関わりたがるしさ、相談に乗るフリして仲良くなろうって寸法なんじゃねえの」

「でも、東條は昨日の朝、俺が手紙見つけたあとに来たんだよ」
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