Boys
□宝賀
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「前の日に入れたんじゃねえの?部活終わったあととか」
「あ、そっか。でもそれだったら…」
真剣に論議する二人に教卓の上から罵声が飛んだ。
「高森!椿!無駄話は休み時間にしなさい」
怒鳴られて肩をすくめながら、椿は渋々と前に向き直った。
ふてくされた顔をしながら、棗は心の中で宝賀に突っ込んだ。
どうせすぐ1校時始めるんだから、休み時間なんてないくせに…
「──と、この化学反応式を元にして濃度を計算するためには、元素の価数および質量を…」
…水曜は嫌いだ。1校時目から眠くなる化学の授業で始まり、その眠気が一日中引きずられて気分が最悪だから。
それでも真面目に板書はしている方だ。時々あまりの眠たさに解読不可能な古代文字を作り出してしまうこともあるが。
今は説明ばかりでチョークは進まず、手持ち無沙汰になった棗はふと手紙のことを思い出した。
そうだ、今のうちに返事を書いちゃおう。
棗はさっそくノートの余白部分に返事を書くことにした。
何て書こう…「お手紙ありがとうございます」?…変かな…
…とりあえず誰なのか聞かなきゃな。あとは…
──よし、できた。