Boys
□宝賀
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棗は体を起こして、手紙の内容をもう一度読み返した。
『お手紙読みました。俺は男を好きになる自信はないけど、とにかくあなたが誰なのか知りたいです。俺の身近な人なのか、それとも
「授業に関係のないことをするな」
読んでいる途中で視界からノートが消えた。取られたことに気付くまで時間が掛かったが、すでに取り返しのつかないことになっていた。
やばい…!先生に取り上げられた…って中身読まれてる!
「す、すいません、あの、俺っ」
早口で謝ろうとするも、宝賀はすでに読み終わってノートを閉じ、呆れた顔で棗を見下した。
「高森…ホームルームといい、このノートといい、君はあからさまに集中力に欠ける」
眼鏡の奥の冷たい瞳に睨まれ、棗はクラスの注目する中で身を縮こまらせた。
「指導の必要があるな。放課後、化学室に来なさい」
「…はい…」
ぽんとノートで棗の頭を叩くと、宝賀は授業を再開した。
今日一日は、全然眠くならなかった…
放課後に近づくにつれ、棗は胃が痛くてしょうがなかった。
宝賀先生になんて言われるだろう…すごく厳しくて恐い先生だ。長々と説教されるんだろうなぁ…嫌だなぁ…