峰倉作品

□★いつか ※
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 ――いつか


 いつかその日はやってくるのだろう。











「うあ――――っ!!」
 隣人が既に寝静まった午前零時過ぎ頃、迷惑この上ない大声量で叫びながら時任は後ろに転がった。隣に座った猫背の男は咥え煙草の口端を軽く上げて笑ってみせる。
「はい、九連勝」
「くっそ〜…キャラ変えたって久保ちゃんには勝てないか…」
 上体を起こしてテレビ画面を見やると、先程まで久保田の巧みな操作によって見事な戦いぶりを見せていた少年が、画面中央でガッツポーズしていた。時任の操作していた筋肉男は、彼の足元で無様に気絶している。
「いやむしろキャラ変えたのが敗因だな。キャラ同士の相性で、難易度が微妙に変化するんだ、このゲーム」
 遅すぎる説明に時任は抗議の声を上げる。
「ずりぃ!知ってて言わなかったのかよ!」
「教えてって言われなかったし」
「うぅ〜…あーもうっ!」
 苛立ってコントローラーを思い切り床に叩きつけた。
「壊れるって。お前何個壊したと思ってんの。本体もバグるよ」
「バグんない!」
 根拠のないことを喚き散らし、悔しそうな顔で久保田に食いかかった。
「もう一回!」
 一途な瞳にふっと笑みをこぼしながら久保田は告げる。
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