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□☆dream well
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あれは──

夢だったのだろうか






 眠れない。
 今日はどうしたことか、布団に入ったきり寝付けない。あくびばっかスカしても、滲む涙がウザいだけ。
 わしゃわしゃと頭を掻き荒らしながら、銀時は不機嫌極まりない顔で身を起こした。そうしてしばらく背を丸めたままどこか一点を見つめる。
 …眠れねぇ…眠くならねぇ…あー、と……寝付けない、眠りが浅い時は…睡眠改善薬…
 部屋の中をぐるっと見渡してお月様のパッケージの薬箱を探そうとした時、部屋の外で人の気配がした。
 咄嗟に枕元の木刀を掴み、下段に構える。襖の向こうをじっと見据え、息を殺して相手の行動を待った。だが向こうも動かない。静寂の平行線が続き、銀時は耐えかねて口を開く。
「…誰だ」
 低くドスを効かせた声で尋ねる。新八や神楽なんかの気配じゃない。殺気立った、かなりタチの悪い──



「……………起こしちまいましたか」



「ッ!?」
 襖が開け放たれ、その姿を確認する前に顔面目掛けて何か飛んで来た。避ける暇もなくベチャッと音を立てて顔に貼り付く。すぐさま引っぺがそうとした手が掴まれ、渾身の力で張り倒された。

「──お命頂戴しに来やした」
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