こんなに宮藤が可愛いわけがない

□友〜私の中の勲章
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ハルトマンが食堂をものすごい勢いで出て行ったあと私は宮藤を見ていたが、何か心に刺さる。しかし、私はそれが分からなかった。今は宮藤といたいただそれだけが私の中を支配していた。
「ハルトマン……」
「お姉ちゃん」
宮藤も心配した顔で私の顔を見る。私はそんな顔を見たくなかったので笑顔を向ける。
「心配するな、いつものわがままだ」
「いいの?」
私は頷いて、宮藤を連れて格納庫に行こうと食堂を出ようとしたところでエイラが扉の前に立つ。
「待つんだな、大尉」
「なんだ、エイラ、私は訓練に出るんだ、そこをどいてくれないか」
「訓練?大尉、確かにわたしも出なきゃいけないからこんなことをしている暇はないんだな」
「なら……」
「でも、わたしはこればっかりは許せないんだな、だから後で罰は受けるから大尉」
そう言うとエイラは私の頬を叩く、思いっきり叩かれた。エイラの近くにいるリーネやサーニャ、私の隣にいる宮藤が驚いた顔している。
「エイラ?」
怒りたかったが、まず何故叩かれたかを知りたかった。予想では先ほどのハルトマンとのやりとりではないかと思っている。
「大尉、おかしいぞ、確かにこんなことになったんはハルトマンのせいだ、でも大尉はそれを受け入れるのか?」
「受け入れるだと?」
「宮藤を妹のように可愛がるのは別にわたしは気にしないんだな、でもだからってハルトマンのことあんな風に言うことはないだろ、ハルトマンは大尉のために一生懸命もとの現実に帰るための方法を探しているんだ」
「エイラ……」
すでにエイラは怒鳴って、珍しく涙も流していた。私はそれを見て、ハルトマンのことを思い出す。
「いつもの真面目なバルクホルン大尉はどこに行っちゃったんだ、この世界にはクリスはいないんだぞ」
「!」
私はそれを聞いてハッとする。そうだここはクリスがいない所なのだ。私はそれが怖かったから宮藤を妹のように可愛がることによってそのクリスがいないという悲しみから逃げていたのだ。
「そう、だったなここにはクリスはいないんだよな」
声は落ち着いていた。冷静にならなければいけないと今の私は思った。
「すまないエイラ、私は……私は……」
涙が零れる。めったに私は泣かない。いや軍人たるもの人前で涙を見せるのはいけないと思っているからだろう。しかし今回は逃げていた自分が悔しかった、そしてそれでハルトマンを傷つけた自分への怒り、そしてハルトマンw思うと悔しくて涙が出た。
「分かってもらえたらそれでいいんだな、何より謝るのはわたしじゃなくて、ハルトマンだ」
「そう……だな」
涙を拭って私はエイラを見る。さっきまでの怒った表情からいつもの柔らかい笑顔になっていた。
「ハルトマンに謝ってくる」
「そうするんだな」
笑顔でエイラは私に言う。階級で考えれば私のほうが上なのに頭が上がらないな。

しかし、そんな落ち着いたときに基地内に警報音が鳴り響いた。
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