短編モノ


□サーニャ、夢心地、エイラも夢心地
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この心臓の高鳴りはウソではない。求めていたものであるこれは。でもいいのかとエイラは自分の胸に手を当て冷静に思考する。でもそんな思考回路はすべて壊れてしまいそうだった。
壊れてもいいの?いいよと答える自分の中の黒い羽根を生やした悪魔の自分。駄目よきっと傷つくわと白い羽を生やした天使の自分。その両方が葛藤を続けている。
暗い部屋は二段ベッドに床には魔術の紋章みたいなものが描かれている。小さい丸いテーブルと奥には分厚い本が何冊か置かれた机がある。朝になっていて光があるがカーテンで閉め切られてあり、光がほとんど入ってきていない。
二段ベッドは言葉通り二人が睡眠をとることができる。エイラはその二段ベッドの下でいつも寝ている。しかし、今は違う。夜間哨戒から帰ってきたサーニャが下のベッドで寝ている。いつものことなのでエイラは別に何も思っていない。むしろ優しく寝かせてあげようと自分は起きてサーニャが寝やすいようにさせている。サーニャの寝顔を見ているととても癒される。いや普段から癒してくれるのがサーニャだ。
そんないつものちょっと奇妙な習慣が今日も始まっていた。だけど今日はそれが少し違ったのである。
それはエイラが起きて朝食を取りに行き、自分の部屋に戻ってきた時から始まった。
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