main♪泉に聳え立つ塔

□初めて逢った瞬間
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あの瞬間にはもうすでに
俺はキミに夢中になっていたのかも
しれない・・・・・・

【初めて逢った瞬間】

「え〜と。水谷くんだよね?」
それは俺が野球部に入って間もないころだった。
「そうだよ。栄口だっけ?」
うん。とうなずいた栄口は女みたいにかわいくて、少しドキッとした。
「よろしくね。」
それだけの会話だったけど、俺はなぜか緊張してうまく話せなかった。

それから俺たちはすごく仲がよくなった。
部員としてじゃなくプライベートでかかわることも増えたし。でも、いまだに話すときは緊張してしまうのはなぜなんだ?
「それで、そのお爺ちゃんがって聞いてんの?」
「えっ!!あぁ、うん。聞いてたよ。」
「なんかあった?」
そういって上目づかいで見てきた。
うわ〜。なんか上目づかいで見てくると女にしか見えない!!なんて変態みたいなこと考えたりしてみた。
・・・・・・ひかれるかな?

しばらくたってから俺は阿部にこんなことを聞いた。
「栄口なんか同じクラスのやつに告らんたらしーよ。」
!!マジかよ。聞いてねーよ!!
別に付き合ってるわけじゃないけどね(笑)
「で、返事は?」
ナイス。花井。俺も気になってた。
「断ったらしいけど?」
!!なんで?好きな人とかいんの!?
あれ?何で俺こんなにあせってんの?
俺と栄口はただの友達じゃん。
何でこんなあせってんの?

結論を出せないまま俺は部活中もずっと悩んでいた。そのせいかエラーが多かった気がする・・・・・・。
それはいつもか?
部活の後、残って日誌を書いている栄口に聞いてみた。
「告られたんでしょ?何で断ったの?」
「!!阿部に聞いたの?」
「うん。」
しばらくして栄口がしゃべり始めた。
「すっ・・・好きな人がいるから。」
!!「誰?」俺、声震えてる。格好悪。
「栄口。俺、お前のこと見てるとドキドキするんだよ。なんかしゃべるときとか他のやつより緊張するしさぁ。」
「!!水谷、それって・・・・・・」
あぁ、なんか今、俺の中で全てが繋がった。
「俺。好きなんだよ。栄口のことが。すっごく、すっごく、好きなんだ。」
「それ、本当?」
「うん。」
そういった瞬間、俺の唇にやわらかい何かが触れた・・・・・・
「俺も・・・・・・好きだよ?水谷のことが。」
えっ!!・・・・・・いまのって
「キッキス!?」
「ちょっ、言わないでよ!!恥ずかしいじゃんか!!」
ちゅっ。再び唇が重なった。
今度は俺から。
「かわいい。」
あらら。真っ赤になちゃって。
かわいいなぁ。本当に。
俺はこういう栄口が好きだったんだな。
初めて逢った瞬間から。
 

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