魔の預言者 本

□第六話
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「今日こそ…絶対…お友達を作る!」



しえみは祓魔屋の近くにあるドアに塾の鍵を差し込んだ。



「今日こそちゃんと挨拶するんだ。がんばるぞ!見ててねおばあちゃん…!」



塾の中に入ると、目の前に出雲と朔子が歩いていた。声をかけようと近寄っていくが…



「……こ、こんにち…わッ」



着物の裾に躓いてしまい、二人の前でこけてしまった。



「あたた…」


「だっさ!」


「大丈夫!?ご、ごめん…ちょと、出雲ちゃん―」


「……………!!」



出雲にはけなされ、朔子には心配され…とても“友達になって下さい”と言える雰囲気ではなかった。



「しえみ、何やってんだそんなとこで…」


「!!!…燐」



今自分が入ってきたばかりの扉から入ってきたのは、燐だった。頭の中にあの時の言葉が蘇る。



「(泣いちゃダメ。…燐を頼っちゃダメだ…!)な…何でもない…!」


「……あっそ…」



燐に背を向けて、教室へと早歩きで向かった。










〜教室〜





「夏休みまでそろそろ1か月半切りましたが、夏休み前には今年度の候補生(エクスワイヤ)認定試験があります。
候補生に上がるとより専門的な実戦訓練が待っているため、試験はそう容易くはありません」


「エスクワイヤ?」


「エクスワイヤだよ!」


「…そこで、来週から1週間試験のために、強化合宿を行います。合宿参加するかしないかと…
取得希望“称号(マイスター)”をこの用紙に記入して月曜日までに提出して下さい…」



紙に書かれているのはかなり前にも渡された用紙とほぼ同じような紙だった。



『(オレんときはもっと人数少なかったんだよなー)』



前を向くと、燐としえみが当然の如く見えた。燐がしえみの方をちらっと向くがすぐ戻し、席を立つと竜士の方へと向かった。
どうせ、称号の事を聞きに行ったのだろう。しえみに聞かなかったのは、竜士に言われた言葉が主な理由だろう。



『(どーしよっかなー。新しいの取るか。じゃ、医士騎士(ドクター)辺りでいっか)』



適当に医士騎士のところを丸で囲む。合宿には当然参加する。どうせ、自分が住んでいる場所でするのだから。



『雪男、コレ』



月曜日に提出とは言っていたが、早い方がいいだろうと思い、雪男にプリントを手渡す。



「海…医士騎士希望なの?」


『ん、何となくな』


「他はいいの?騎士とか手騎士とか…向いてそうなのに」


『(もう取ってあるし。2回も取る気ねーよ)いーんだよ、別に』


「そう。分かった」



雪男もそれ以上追及せず、プリントを受け取って教卓へ戻って行った。



「それでは終わりにします」



雪男の一声で次の授業のために移動が始まった。そして、なぜかオレは雪男に呼ばれて教室に居残り中。…何かしたのか?オレ。



『何かしたんならスミマセンでした。それではオレはこれで…』


「待った待った。別に海が悪いことしたわけじゃないよ。ちょっと聞きたい事があってね。さっきのプリントの事なんだけど…」



キタキタ。どうせみんなの前で追及しちゃうと何か都合が悪いことがあるのか、とかっていう雪男の勘が働いたのだろう。



『…称号のことか?』


「そういうこと。なんで海程の実力者が医士騎士しか希望しないのかなぁと思って」


『オレの事情だろ?雪男には関係ない』


「だけど…『騎士団側としてはオレみたいな実力者を利用したいってか?』…そういう事になる」



めんどくせー。ってか、早くいかないと次の授業始まるんだけど。



『悪魔でもあるオレを縛り付けるには、いろんな称号をとらせて任務を入れねーといけないとでも思ってんだろーよ、上が。
または、別の事情かだな。気になんのならメフィストにでも聞いてみろよ。教えてくれっかどうかは知んねーが』


「…そうさせてもらうよ」



雪男の話も終わり、開放されたため海は次の授業の教室に向かった。




  
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