魔の預言者 本
□第十一話
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此処はメッフィーランド。メフィストが独自に作り上げた遊園地。
「皆さん、初任務どうしはりました?」
「…どーもこーも…僕は蝦蟇(リーパー)のオリの掃除でした」
「俺は山奥の現場まで物資運ばされたわ」
「俺は多摩川に囀石(バリヨン)採りに連れてかれました」
「任務やなくて雑務ばっかやな!」
「そんな、まだ候補生(エクスワイヤ)なったばっかなんやさかい、しゃーないですよ」
皆は雑務ばかりの任務をこなしてきたらしい。
「俺は一足先に悪魔倒しちゃったぜ!しかもそのあと俺の使い魔にしたんだ!」
「………じゃあ今召喚してみい」
「えっ…?寮に置いてきたよ」
それでは使い魔としての役割は果たせない。“つき従う”から使い魔なのだから。
「…てか女子遅ない?しかもあの如月まで来てないし…」
「すみません!遅れました…!!」
『…竜士、“あの”って何だ?』
「いや、そのォ…なぁ?」
向こうからゼルに乗って表れた出雲、しえみ、海がやってきた。しかも海としえみは女子制服姿だ。
「ど、どうしたその姿…着物は、男子制服は?」
「着物は任務に不向きだからって…理事長さんに支給していただいたの…。神木さんと朴さんに着方を教わっていて遅れました…!」
『オレは無理矢理メフィストに着せられた。もともと持ってたしな。…でも、ヒラヒラして嫌。着替えてくる』
海は建物の奥に消えていった。
「へ…変じゃないかな?」
「えーよえーよ!杜山さんかわえーよ❤」
「あ…ありがとう!」
紅く頬を染めて嬉しがるしえみ。それから間もなくして海が帰ってきた。上下とも男子制服だ。どこに持っていたのかは知らない。
『やっぱこっちの方が落ち着く』
「んだよ、着替えちったのか…」
『なんか言ったか?』
「別にィ…」
「えー、では全員そろったところで2人1組の組分けを発表します」
燐の言葉を聞き逃したが、聞ける雰囲気ではなかったのでスルーしておく。
「三輪・宝」
あまりしゃべらない人と組むのは辛いだろう。
「山田・勝呂」
途端に嫌そうな顔になる竜士。
「奥村・杜山」
「燐と一緒だ!」
「(海とが良かった…)」
心の中で欲望を出す燐。
「神木・志摩」
変態と組むことに出雲は抵抗が少し(かなり)あるようだ。
「如月さんは一人でお願いします」
『ああ』
「今回はここ ――正十字学園遊園地―― 通称“メッフィーランド”内に霊(ゴースト)の目撃。
また、被害の報告が入ったため候補生の皆さんにその捜索を手伝ってもらいます」
「霊の定義を……―――では神木クン!」
「霊とは人や動物などのしたいから揮発した物質に憑依する悪魔で、性質は大抵死体の生前の感情に引きずられるのが特徴です」
「その通り。この霊はランド内のいたる所で目撃されており、出現場所を特定できないタイプ。
外見特徴は“小さな男の子”で共通。被害は現在“手や足を引っ張る”程度。
ですが、このまま放置すると悪質化する恐れがあり危険です」
園内を閉館にするほどのことなのだろうか。…ってか、メフィストの趣味全開だな此処。
おい、銅像まで建ててんなよ。閉館するまでもなかったんじゃねーのか?人こねーだろーし…←本音
「先ほど分けた二人一組で方々に散り、日暮れまでの発見を目指します。
見つけたらすぐ椿先生か僕、奥村の携帯に連絡すること。質問がある人は挙手して下さい」
「外見の特徴はもっと他にないんですか?」
「見つければすぐそれと分かるので説明不要だネ」
「……では、他に質問がなければ…――――以上、解散!」
その言葉と共に、皆は走って……行くわけない。
のろのろと歩きながら方々へと散っていった。
『めんどくせぇ事になりそうだな―』
《海…?》
『…んでもねぇ。行くぞ』
ゼルに巨大化を頼むと、そのまま遊園地内を捜索し始めた。