神ノ定メ 本
□第1夜
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「もしかしてここが黒の教団ですか?」
『そう。ここが黒の教団です』
目の前には高い出っ張った岩の上に立っている黒い塔。エクソシストの総本部、黒の教団だ。
「ハァ、ハア、な…何でこんなトコにあんなもん建てたんだ…」
『やっぱり僕が運びましょうか?ここを登るのは辛いですし…』
「いえレムは怪我をしていて辛いでしょうし、貴方は女性です。運んでもらったら紳士の名が廃ります」
『そうですか?』
そう、今上っているのはアレンだ。レムは今飛んでいる。レムはアレンの事も運ぼうかと言った。
…のだがアレンは一向に首を縦に振らずそのまま登り切ってしまった。
「やっと着いた…エクソシスト総本部…黒の教団」
『このゴーレムを通して確か研究室に映像が送られてるんでしたっけ。コムイさーん、リナリー、リーバーさーん。誰かいますかー!』
「本当にここ何ですかレム?半年ぶりなんでしょう?」
『はい、ここでいいんですよ』
✝黒の教団研究室✝
「ダメだよ部外者入れちゃ〜〜〜〜何で落とさなかったの!?」
コーヒーを入れてやってきたのはここの室長であるコムイ。仕事をほったらかしにする天才。
実の妹であるリナリーと、その親友であるレムを溺愛しているシスコンである。
「あ、コムイ室長。それが微妙に部外者っぽくねーんスよね」
そのコムイの質問に答えたのはリーバー。よくコムイの終わらなかった書類を押しつけられている可哀想な人だ。
「ここ見て兄さん。この子達、クロス元帥のゴーレム連れてるのよ。しかも一人はフードかぶって分からないけど雰囲気的にレム…
いや、レムよ絶対!!今週中に帰ってくるって言ってたし!!」
目をキラキラさせてレムについて語るのはコムイの妹、リナリーである。レム溺愛者の一人。
「すいませーーん。クロス元帥の紹介で来たアレン・ウォーカーです。教団の幹部の方に謁見したいのですが」
『アレン、結構声が大きいですね』
「これぐらい出さないと聞こえないでしょう?」
アレンの大声がゴーレムを通して研究室に送られる。
「元帥の知り合いだ。あの人生きてたのか」
「"紹介"って言ってますけど、室長なんか聞いてます?」
リーバーのなんともやる気のなさそうな問いかけに、
「知らない」
コーヒーを飲みながらこちらもやる気のなさそうな声で、即答する。
―「二人とも後ろの門番の身体検査受けて」
『な、何で僕まで!?団服来て………ないんだった…』
来ていた団服はボロボロになってしまったため、アレンの服を貸してもらったのを忘れていたようだ。
レムはアレンより一歳年下のうえ、背も体も一回り小さいためアレンの服もブカブカだ。
「(落ち込んでいるとこ悪いのですが、可愛らしいですね…)」
『もしかして僕ってわかってない…』
「しかたがないですよ。半年も任務についていたら外見が代わるのは当たり前ですし僕の服を着ているので余計分からないのでしょう」
『確かに髪が邪魔で短くしてしまいました…』
仕方なく門番の前に二人して並ぶと、いきなり顔がズイッと飛び出してくる。
「わっ」
『に、二回目だけど慣れない…』
門番の顔が怖くて青ざめるレム。目から光が出てきてアレンとレムの体を照らし出す。
「(ふ、二人とも映らない!?バグか?)」
バグかと疑っていると、アレンの額のペンタクルとレムの右目の十字架が浮かび上がる。
「こいつらアウトォォオオ!!」
門番の大声が教団中に響き渡る。その声に反応した一人のエクソシストが門に向かっていった。
「へっ!?」
「こいつらバグだ!!一人は額のペンタクルに、もう一人は右目の逆十字架に呪われてやがる!!
ペンタクルは悪魔の印!!逆十字架は神を否定するもの!!こいつら奴らの…
千年伯爵の仲間(カモ)だー!!」
「んなっ!」
『何で千年公の手先にならなきゃならないんですか!?』
「なにぃ――――!!」
「スパイ侵入スパイ侵入!」
「おい場内のエクソシストは………」
「神田がもう付いたし、私も行く。確かめたい事があるし」
リナリーは疑問を確かめるために外へとかけて行った。
一方アレンとレムはふと塔の上の方から殺気を感じ上を見上げると、そこに佇んでいたのは神田ユウ。
刀の形をした装備型のイノセンス、「六幻」を使うエクソシストだ。
「二匹で来るとはいい度胸じゃねーか」
「(殺気!)ねえレム。彼の事はご存知ですか?」
『もちろん。彼は神田ユウっていうエクソシストです。他人に名前で呼ばれるのが嫌いなんです。ちなみに僕は名前で呼んでも大丈夫です』
「そうですか(もしかしてレムに気があるとか?)」
『ユウっ、僕ですよ!!思い出して下さい!!』
「アクマに名前で呼ばれる筋合いはないっ!!!!」
『へ、』
「ちょっちょっ待って!!何か誤解されて…!!!」
必死に思い出してもらおうとしたのだが思い出してもらえるどころか殺気を向けられアクマよわばりされてしまったレム。
精神的ダメージは仲が良かったので大きいようだ。しかもアレンはユウに攻撃をされ、対アクマ武器に傷を付けられている。
レムも攻撃をくらいそうになり、寸でのところで翼を使い飛び上がるので精一杯で、アレンを連れていく事は出来なかった。
「なっ」
置いて行かれたアレンは目にも見えないほどの速さで攻撃をくらい、発動させた左腕で受け止めることしかできなかった。
「痛っ?(対アクマ武器に傷が!!アクマの砲弾でもビクともしないのに立った一撃で…?まさかあの刀…)」
「お前ら、その腕と翼は何だ」
「…………対アクマ武器ですよ。僕はエクソシストです」
『僕のもそう。それに僕はここ、黒の教団に所属済みです!!』
「何?」
ユウはその言葉に門番に振り返ると、
「門番!!」
怒鳴った。その声にビビる門番。
「いあっ、でもよ、中身がわかんねェんじゃしょうがねェじゃん!アクマだったらどーすんの!?」
『相変わらず図体はでかいくせにビビりさんですね…』
「僕は人間です!!…疑うんですか?(黒笑)」
『(なんかアレンキャラ変わってません!?そういえばリナリーもなんか変わってるような…)』
門番のあご(?)を叩くアレン。しかし、途中でそのまとう雰囲気が一変し、黒くなる。