神ノ定メ 本
□第1夜
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「ふん、まあいい。中身を見れば分かる事だ」
六幻を構えて、攻撃態勢に入るユウ。
「この"六幻"で斬り裂いてやる。二匹とも覚悟しろ!!」
『だから僕はここに所属しているって言ってるじゃないですか!』
「待ってホント待って!僕はホントに敵じゃないですって!クロス師匠から紹介状が送られてるはずです!!コムイって人宛に!!」
その言葉を聞いたユウは刀の切っ先をアレンに当たる寸でのところで止める。そしてそのままの体勢で質問をしてゆく。
『コムイさん!!机の上にあるんじゃないですか!!探してくださーい!!』
アレンとレムの言葉を聞いた研究所にいる人たちは、一斉にコムイを見る。
コムイ本人はなぜか自分では探さずに、目に着いた部下に探せと指令する。
「コムイ室長…」
「コムイ室長…」
―『もちろん自分で探して下さいよー!!』
しかしそんなのを許すわけもなく、大体予想が付いていたレムと研究員たちは名前を呼ぶ。
「ボクも手伝うよー」
とうとう威圧に耐えられなくなったコムイは自分も探しに行った。向かうは山のように書類が積まれた机。
〜数分後〜
「あった!!ありましたぁ!!クロス元帥からの手紙です!」
「読んで!」
「コムイへ
近々アレンというガキを送るのでヨロシクな
それと、オレのレムに手ぇ出したら潰すからな Byクロス=cです」
「はい!そーゆうことです。リーバー班長、神田君止めて!…って、レムちゃんはもうクロス元帥と会ってるの!?」
「たまには机を整理して下さいよ!!!」
「ヤダ」
「ていうか"オレのレム"って、何なんでしょうかね?」
「おめーは新入りだからわかんねぇんだろうが、レムさんはな、この黒の教団で室長の妹リナリーさんと一二を争うほどの美貌を持ち合わせてるお方だ!!」
「へえ…しんなかったです」
「そこのおしゃべりしてる二人!手伝って。久々の入団者だ。あの人(クロス)が出してきたこか…鑑定しがいがありそうだ」
どうやら研究室ではアレンがどういう存在かようやく分かったようだ。
コムイは迎え入れるためにさっそく準備を始めている。
「かっ開門んん〜〜〜〜〜?」
外ではようやく門が開いた。
門番は訳が分かっていない様子だ。
『なんかさっきと偉い態度のかわり様ですね。僕たちを受け入れるんですか?』
「開けろって言われたんだよ」
―「入城を許可します。アレン・ウォーカー君と、黒髪君」
『僕の事まだみんな気付いてない…そんなに影薄かったっけ…』
「(やっぱレム可愛いです…)わっ」
―「持って待って神田君。ごめんねー早トチリ。その子クロス元帥の弟子だった。ほら謝ってリーバー班長」
―「オレのせいみたいな言い方ーーーー!」
レムは声の出ているゴーレムに近づく。もう我慢が出来なくなったようだ。
『(もしこれで気付いてなかったらコムイさんと一週間口きいてやんない)コムイさん。僕のこと分かります?
一応(ここ重要。ここ)黒の教団に所属してるんですけど…』
―「…いや、分かんない。キミ誰?黒髪のエクソシストは神田君しか…ってもしかして、レムちゃんかい?」
それを聞いた途端レムの体がプルプルと小刻みに震え始める。
『もうコムイさんなんて知りません!!!何で誰も気付いてくれないんですかっ!!!団服着てないくらいで、髪短くしたくらいで、半年いなかったくらいで…
リナリーとは一週間に一回ティムを通して話してたのにいないし…挙句の果てにユウには攻撃されるし…
なんですかぁぁ!!そんなに僕の影薄かったんですかぁああああああ!』
声の限り叫ぶレム。よほどショックだったようで寄生型のイノセンスの気が感情に反応してあふれている。
そこへ遅れて登場するリナリー。先ほどの怒声は付けていたゴーレムで全て聞こえている。レムの姿を見つけると、ものすごいスピードでレムに抱きついた。
「レムー!会いたかったわ!!ごめんね?すぐにこれなくて…気付いていたんだけどここに来るまでに時間がかかっちゃって…」
リナリーよりも小さいレムは抱きつかれて埋もれてしまう。それでも気付いてくれた人がいて嬉しそうだ。
徐々にイノセンスの気は収まっていった。
『気付いてくれていたんですか?』
「もちろん!(私の)レムを間違えるはずもないわ!!」
そう言うとリナリーはレムの肩越しにアレンとユウを見る。その顔はどこか黒かった。
「(よくも私のレムを泣かせたわね神田。しかもアレン君だっけ?レムが腕に怪我してるじゃない。傷が残ったらどうするのよ)」
「(その時は僕が責任を持ってレムをもらいうけます)」
「(させるわけがないでしょう?)」
『?リナリー、どうかしましたか?』
「ううん何でもないわ。さ、入りましょう」
『?』
「でも、その前にレムは医務室に行って来た方がいいわ。腕、怪我してるでしょう?」
『分かった。じゃあその後コムイさんのところに行きますね』
「本当にすみませんでした。一緒に行きましょうか?」
『ううん、大丈夫です。アレンはリナリーと先に行っててください、ね?』
「分かりました」
「ちゃんと見てもらうのよ」
『分かってますよ』
アレン達と別れ、レムは医務室へと向かった。ユウはすでにどこかへ行っていた。
=その後の二人の会話=
「レムはアレン君に渡さないわよ」
「それなら力ずくでも奪います」
「出来るもんならやってみなさい(黒笑)」
「望むところです(黒笑)」