神ノ定メ 本
□第7夜
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連れてこられたのは前に来た事のある封印の扉の前。そこでバクはフォーの名を呼ぶ。
「めんどくせぇな。あたしの役目は小僧のお守じゃねぇんだっつの。バカバク」
扉から出てきたのは名を呼ばれたフォー。その様子に驚くアレンにバクが説明してくれる。
「あれは人ではなく曾祖父が作った"守り神"から派生した結晶体でね」
「ここを守る戦士ってワケ。あたしは強いぜウォーカー?」
両手を鎌のようなものに変化させると、一瞬のうちに間合いを詰められ、首にそれをあてがわれる。
「首獲った」
ニヤリ、と笑うと、いきなり腹にけりをいれられた。そのまま柱に激突するアレン。そんな様子を見ていたバクは、顔を青ざめさせている。
「イ、イノセンスを知る近道は実戦だ!追い込めば何かしら活路が開けるかもしれん!!
…と思ったがやはり止めておくかウォーカー。この作戦はちょっとやっぱり危ないかもしれん」
「やりますよ。“追い込んで活路作戦”、いいかもしれない」
服はボロボロ、口からたまった血を吐きだし、バクにそう告げた。
✝数十時間✝
封印の扉前の広場では、まるで実戦とほとんど変わらないほどの戦いが繰り広げられていた。
アレンは何度かイノセンスを発動しようとするもすぐに粒子化してしまう。
「イノセンスよ……っ」
その時、粒子化してしまったために、受け止めていたフォーの右腕が首を切った。
「あ……あれ…?くっつい…てる?」
おそるおそる首に手をあてると、いつも通り繋がっているそれ。後ろを振り向けば、眠くなり実体化できなくなっていたフォーがいた。
彼女はいったん休憩だと告げると、扉の中に入って行った。
「(眠たくなかったら首が落ちていたのか……?)」
アレンはそのまま気を失ってしまった。そこへ駆けつけてきた蝋花。その後に続く李佳とシィフ。どうやら様子を見たくて忍び込んでいたらしい。
―「ゴラーーーーー!!貴様ら!!そこは立ち入り禁止だと言っただろうが!!何している!!
…ついでだからウォーカーをベッドまで運べ!罰としてしばらく資料倉庫の掃除だからな!!」
近くにあった無線ゴーレムから聞こえてくる大きな怒声。最後の方の内容にブーイングする三人。
その声を聞き流したバクは、近くにいたウォンにアレンを手当てをするように言った。
―「どうしたの?」
バクが手に持っていた電話から聞こえてくる違う声。その声に乱暴に返事を返したバクは、どかっ、と椅子に座った。
―「アレンくんの調子はどう?」
「よく頑張っている。だがまだ発動できないままだ。もう少し時間が必要だな」
目の前の画面を見れば、李佳に支えられているアレン。まだまだ発動できそうにはない。
―「そうか。無茶する子だから、体には気を付けてあげてねバクちゃん」
「“ちゃん”って言うな」
コムイは若干キレかかっているバクを無視し、リーバーからの報告を聞き、電話を切った。
✝黒の教団・大聖堂✝
「弟子らはもう燃えてしまったか………それでいい…灰になれば十字架を背負わずに済む…」
《キキっ》
大聖堂にいた女…元帥であるクラウド・ナイン元帥がいた。彼女は涙を流していた。肩に乗っているサルも鳴く。
「ただの負け犬どもだ。くれてやる言葉も無い」
その後ろに胡坐をかいて座っているのはウィンターズ・ソカロ元帥だ。
「クラウド・ナイン元帥。ウィンターズ・ソカロ元帥。大元帥がお待ちです」
コムイは二人に対し帽子をとり、恭しく頭を下げた。