リングの光T 本

□標的17
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一歩島の中に足を踏み入れると、そこはにぎやかな遊園地だった。周りにも、老若男女とわず幅広い世代がひしめき合っている。
家族ずれも多い。ここにいる人が全てマフィア関係だなんて思いもよらない。



「リボーンさん今回は記者会見は…?」


「断るぞ」



ホテルに近づくにつれてリボーンを取り囲む報道陣の人たちが多くなっていくが、その人たちの取材を一切受け付けない。



「お前、そんな有名なの?」


「まーな。ホテルの上を見てみろ」



ホテルの上にはリボーンの顔型のバルーンが浮かび、その下には“ようこそリボーン!”とでかでかと書かれている。



「ほら!ツナ!見てごらんなさい」



しばらく放心状態だったツナ。奈々に呼ばれ、指差された方を見るとそこにはきれいな海が広がっていた。



「さっそく泳ぎましょ――!!」



ビアンキ、ランボ、イーピンはあらかじめ来ていた水着になると、海へとかけていった。
ツナもその後を追おうとするが、リボーンにより勝手に代表者にされていたため、受付へと向かった。










「次の方、どうぞ」


「沢田ツナです。ボ…ボ…ボンゴレファミリーの………」


「ご推薦状、ご招待状はお持ちでしょうか?」


「い…いえ…」


「招待状なし…と。そうしますとマフィア審査が必要となりますね」



そんな事、聞いていない。そもそもマフィア審査とは何なんだ?受付の人に連れてこられたのは大きな扉の前。
開けてみると室内にある大きな椅子にがたいのいい男が巻きタバコを咥えて座っていた。



「彼は政府にコネクションのある人物です。ここに百万ユーロありますので、彼に正しいやり方でワイロを渡して下さい」



わけのわからない事を言う人だ。まずワイロなんてマフィアでも渡す事は限られてくる。



「お客様がボンゴレ10代目の沢田様であると証明するモノをお持ちでないので、実技審査で証明していただく形となっております」


「はぁ!?何それ!?つーか知りませんよワイロなんて――!!」


「審査を放棄なさると、連れの方とも度も皆殺しですよ」



笑顔でどす黒い発言をするお姉さん。とりあえず皆殺しは何としてでも避けたいので、わいろを持って男のもとへと行き、わきの下からワイロを渡す。



「はいそこまで!」



突然お姉さんが片手をあげて制止をかけた。



「まず、“この金はワイロです”といわないと何のお金だか分かりませんよ」


「露骨すぎない!?」



ワイロですなんてどうどうというマフィアなんて存在するのだろうか。たぶん、いや、絶対いないと思う。そんなことしたら周りにいる人に確実にばれるだろ。絶対。



「残念ですが失格です」



両脇を男に抱えられてその部屋から出され、地下鉄の様なものに放り込まれた。そして、そのまま電車はとある場所へと向かった。










向かった島にいたのは、リボーンと同じくらいの赤ん坊。なぜか頭にワシを載せている。そして横にはいつの間にかリボーンがいた。
リボーンを見た途端、ライフルを発射する。リボーンはそれを飛んでよけると、その赤ん坊に向けて銃を発射する。



「くわっ」


「ひいいいっ」


「こいつが裏マフィアランドの責任者、コロネロだ」


「って殺しちゃってんじゃん!!」


「鍛え方が違うぜコラ!」



死んだと思っていたコロネロが起き上がり、驚くツナ。リボーンといがみ合う中、コロネロは数十分前の出来事を思い出していた。










〜数十分前〜



『はぁ、ようやく付きました…』



ツナ達よりももっと階級の高い部屋で過ごしていたカレンは、一足早く船から降りていた。そのまま受付へと向かう。



『ドゥラドファミリー10代目の月城カレンです』


「ご紹介状などはお持ちでしょうか?」


『紹介状はありませんが、身分を証明するものはありますよ』



そう言って取り出したのは、アイラスから受け継いだドゥラドにだけ伝わるリング。リングの中央には龍が描かれている。



「これは…っ」



受付嬢が固まった。不思議そうに見つめていると、突然受付嬢が立ち上がった。



「もっ申し訳ございません!!」


『な、何がですか!?ていうか顔をあげて下さい!!』


「私ごとき敬語など…普通にお話し下さい」


『いや、これが僕の普段通りの話し方なんですよ。ていうか本当に顔をあげて下さい!!』



ようやく顔をあげたお姉さん。年上の人に頭を下げられるのは本当にまだ慣れない。彼女の顔は歓喜に満ち溢れている。



「貴方様に会える日が来るとは…私の一生、悔いはないです」


『悔いはないって…まだまだこれからでしょう?』



彼女が大声をあげた事で周りに人が集まり始めた。いろいろと面倒事が起こる前に用事を済ませなくては。



『ここには、アルコバレーノがいるんでしたよね?どこをどう行けば会えますか?』


「はい!ここをまっすぐって、右に曲がった突き辺りにある地下鉄に乗れば会えますよ!」


『そうですか。ありがとうございます』



リングをしまい、案内されたとおりに進んで電車に乗った。胸にはチェーンに通された白いおしゃぶりが下げられていた。










『ここにいるんですかね?コロネロは』


「お前も不法侵入者か?コラ!」


『貴方がコロネロですね?』


「何で名前を知っている」



ライフルを向けてくるコロネロに一応両手をあげておく。もし撃たれてもいい様に一応風をまとう。



『僕は…「ショット!!」…はぁ』



風をまとっていたため、銃弾は地面に突き刺さる。



「お前何もんだコラ!何で弾かれたんだ!!」


『コロネロが自己紹介をしようとしたのに遮ったのでしょう?…僕はドゥラドファミリー10代目の月城カレンです。それと…』



服の中に隠していたおしゃぶりを取り出す。それを見せた途端、コロネロの目が見開く。



「お前、それをどこで手に入れたんだコラ!」


『これは天地の力を持つ僕に創龍が渡したモノです。どこで手に入れたかは創龍にききませんと』


「創龍がだれかは分からねえが、オメェがオレらアルコバレーノのボスってことは分かったぞコラ!」


『何言ってるんです?アルコバレーノのボスは大空のおしゃぶりを持つユニ…いや、今はアリアさんでしたっけ?…じゃないですか』


「いろいろと詳しいんだな」


『ちょっと訳アリでしてね。まあ、僕は天地のアルコバレーノです。ちなみにリボーンにはいってません。それにこの事は他言無用です。
伝える事は僕から直接言いますから』


「分かったぞコラ!…そういえば何でおしゃぶりどうしが近くにあるのに光らねぇんだ?」


『それは封印しているからですよ。僕が封印を解かなきゃ反応しません。じゃ、僕はちょっと行くところがあるんで行きますね』


「ああ、またな」
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