リングの光T 本

□標的17
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ツナに修業という名の暴行をしていた時、そこにロンシャンがやってきた。どうやら彼の彼女だったレンコがカルカッサファミリーというマフィアのスパイだったらしい。



「身ぐるみもはがされちゃってさぁー!」



この世であんな女に騙されるのは、ロンシャン一人しかいない様な気がする。

笑いながら話すロンシャンに嫌気がさしてきたころ、周りから爆発がおった。それはとどまるどころか激しさを増してゆく。



―「敵襲!敵襲!皆さん避難所へ避難して下さい!業務連絡――迎撃態勢にシフト――」



そんな放送も入った。周りが騒がしくなっていく。



「何でマフィアがマフィアランドに攻めてくるんだよ!!ファミリーが金を出し合ったんだろ!?」


「全部のファミリーじゃねーんだ。ここを作ったのは麻薬に手を出さない、いいもんのマフィアだ。それをよく思って無いマフィアもいるんだ。
カルカッサファミリーもその一つだ」


「マフィアにいいもんとかないだろー!!!ってことはここで抗争がおっぱじまんのかよ!!」


「ていうか戦争だな」



その間にも爆発はひどくなっていく。どんどんの近づいてきている。なのにリボーンとコロネロは特に慌てる様子もない。



「見ろ。おしゃぶりが光ってる。知り合いだぜ」


「ああ、こんなくだらねーことをすんのは…スカルしかいねーな」



地平線から巨大な船がやってきた。船体からは大砲がつきだしてきている。その大砲からは絶えず弾が放たれ島に攻撃を繰り返している。



「これは戦争だぞ。オレ達、島にいるマフィアと、カルカッサファミリーとのな」


「あんらー!ヤバいよ、聞いてないよ戦争なんてー!!」


「うそだろ〜!?」



ツナとロンシャンは顔を青ざめる。その場で頭を抱えて座り込む。



「しかもまずいぜコラ!今日、島の警備をするはずのファミリーが、ボスの命日で本土に帰ってる…この島に戦える兵隊はほとんどいない」


「あれーーーー!ヤバいよね!負けちゃうよね!」


「どーすんだよ!!」


「もちろん!オレのいる限り奴等の好きにはさせん!だが…お昼寝の時間だぜ…」



目を開けたまま、鼻提灯を膨らませてコロネロは寝てしまった。



「コロネロはほっとけ。ママン達が心配だ。地下鉄でマフィアランドに戻るぞ……よ」


「ぞよ?」



スピ――――



リボーンも鼻提灯を出し、しかも目を開けたまま眠りについた。ツナがいつものように突っ込むだけで、あとは爆音にかき消された。



「あーもーリボーンの奴ーっこんなときに寝やがって!!起こしたら殺されるから起こせねーし!!地下鉄も停電で動かねーし!何でリゾート来て線路歩いてんの!?」



グチグチとツナの文句がトンネル内によく響く。ロンシャンはまだハイテンションだ。
足元が明るくなってきた。どうやら入口が近いらしい。



「沢田ちゃんトンネル抜けたよ!なるほど、ここに出るんだ!!マフィアランドに象徴、マフィア城!!」



目の前に堂々とそびえたつのは大きな城。まるでおとぎの国にでも存在するような城だ。



「ロンシャン君こっちこっち!早く城の中に!」



入口の大きな扉の隙間からロンシャンの家庭教師であるマングスタが手招きしている。



「ボンゴレも一緒かぁぁ!!」


「まーまークールダウン〜!」



城の中に入ると大勢の人が集結していた。島にいたほとんどの人がここにきているらしい。



「ツナ!」



自分を呼ぶ声がして振り向くと、奈々達がいた。



「このお城で敵マフィアを迎え撃つんでしょう?」


「なっ母さんまでマフィアとか〜?」


「面白いイベントね」


「山本的ー!!」



マフィアなんて言い出すからどう反応するのかと思いきや、イベントと勘違いしている模様。背後に一瞬山本が見えた気がした。



「母さんたち女性は後方でご飯作るんだって!!」


「まかせといて」


「ちょ、ビアンキもつくんの―――!?」



…出来上がる料理が心配になってきた。ポイズンクッキングを食べさせられてもっと味方が少なくなるのは御免被りたい。



「スパイを入れたトマゾの8代目ってのはお前か!」


「(ロンシャンの事だ!殺される!)」



命の危険を感じた。だが、周りの反応は予想と全く違った。なぜか喜んでいる。



「リゾート気分に飽き飽きしてたとこよ!スリルがねぇ!」


「久しぶりに銃をぶっ放せると思うとワクワクしやがるぜ」


「やっぱりマフィアは殺しあわねーと」



感覚がずれている。こんな人たちとおんなじ職業に自分もつかざるおえないと思うと、先が思いやられた。



「この構想、アジアを仕切るオレ達ネロファミリーが指揮をとるぜ。文句はねーな!」


「待ちたまえ。連合軍の大将は我々、伝統と格式述ベッチオファミリーのボス、ベッチオの方がうってつけだ」


「おいおい、田舎もんは下がってろ。ニューヨークで最も勢いのあるオレ達、ヌーボファミリーが仕切る」



先ほどの雰囲気とは打って変わり、誰が指揮を執るかでもめ始めた。プライドが高いマフィアどうし、誰もが違うマフィアの下につきたくないようだ。



「10代目〜〜〜!ご無事でしたか!!」



この場の今の雰囲気に似合わない陽気な声が聞こえてきた。声のもとをたどれば、そこには獄寺がいた。笑顔で手を振ってきている。



「まぎわらしーぞガキ…10代目とか変なアダ名をつけるんじゃねぇ!」


「アダ名じゃねぇ。沢田さんはボスだコラ!」



睨んできたのはネロファミリーのボス。獄寺はその睨みと同等、それ以上の睨みで返す。その声色には多少の殺気が入り混じっていた。



「ほ―――どこの馬の骨のファミリーかな?」



聞いてきたのはベッチオファミリーのボス。その質問に獄寺は堂々と答えた。



「ボンゴレだ。文句あるか!?」



その答えに辺りが騒然とする。



「あれが次期ボンゴレ」


「ゴットファーザーだ」



いろんな声が飛び交う。すると先ほど質問をしてきたボスがいきなり頭を下げ、誤ってきた。がたいのいい男が近づいてきてツナに向かって大将と呼びかける。



「伝統・格式・規模・勢力!全てにおいてボンゴレは別格!」


「あの………」



周りが沸き立つ中、少し遠慮がちな声が聞こえてきた。手を挙げているのは小柄な女性だ。



「私、今日の受付担当だったんですけど…その、何か水を差すようで悪いんですけど…」


「何だよ!早く言えや!!」



イライラしているのか、一人の男がつかみかかる。女性もびくびくしながら、でもはっきりとした口調で語り始めた。



「今日、マフィアランドにドゥラドファミリー10代目がいらっしゃっているんです」



女性をつかんでいた男が手を放した。その場に崩れ落ち、せき込む女性。彼女と目線を合わせるようにしてネロのボスが座りこむ。



「おい女、それは本当か?」


「は、はい。確かにドゥラド10代目ボスだと…」



辺りの人たちがドゥラドの者はいないかと探し回っている。だが、その場にいる全員に言葉が回ってもいまだに出てこない。



「嘘ついてんじゃねぇんだろうなぁ?」


「つ、ついてませんよっ!ちゃんと来たんですっ!!」


「もしかしてもう前線で戦っておられるのでは?」


「そうかもしれんな!それならあのお方が現れるまでは、ボンゴレ!あなたが俺達の大将だ!」


「ええ!?ちょっと!!てか、あのお方って誰だし!!ドゥラドファミリーって何ー!!」



ツナの後ろに群がる人々。そして何を思ったのかツナを前線に運んで行った。抱えあげられたツナは、なすすべなく戦争のまっただ中へと連れ出された。
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