魔の預言者 本
□第一話
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“魔の預言者”…
それは、選ばれし者しかなれない役職。
選ばれるのは必ず異世界の人間。
性別は問わない。ただ、悪魔と相性が良く、“ここの世界”についての知識が全くないことが条件。
その役目は、必ず祓魔師か悪魔側につき、事の終末を見届けること。
その役職に就いたものは、強大な力を持って生まれてくる。その力を、皆は欲する。
そして…役目通りにある者は悪魔側につき…またあるものは祓魔師側につく。
それを決めるのは自分自身だが、何人かの魔の預言者が現れ、灯が散っていった時、ある祓魔師が言った。
「こうなれば、予言者が現れたと同時に、こちらで保護という名で捕まえよう。“悪魔は敵”だと信じ込ませれば、簡単な話だ」
またある悪魔も言った。
「祓魔師に見つかる前に、こちらが先に預言者を捕まえよう。“祓魔師は敵”だと教え込めばいい」
この言葉をきっかけに、予言者達の自由は奪われ始めた。
生まれた途端予言者と分かると、悪魔はゲートを使ってさらっていき、祓魔師は両親に金を渡して連れさっていく。
そして、幼いころから対立する側を敵と教え込まれ、倒す術を教え込まれていく。
そしてたまには預言者同士が殺し合う時もあったほどだ。
それを見ていた、神は思う。
―こんな事になるのなら、ある程度の年月が過ぎ、存在が忘れられたときに限り落とし、その人数は一人とする―…と。
それからというもの、魔の預言者は全く姿を現さなくなった。
最初のうちは、躍起になって探していた両者も、時がたつにつれてその存在を忘れていった。
そんなときに、海は連れてこられた。意図的な方法によって。
サタンはまだ、諦めてはいなかったのだ。手当たりしだいに探し、とうとう見つけたのだ。
生まれたと同時に連れ去ろうとしたのだが、できなかった。
彼女が、虚無界に行くことを拒んだのだ。
原作の知識があった彼女は、“悪魔は悪”と分かっていたのだ。…他の人から見れば、逆の場合もあるのかもしれないが。
そうして彼女は、自ら祓魔師の道を選んだ。それは、ここ何百年連れ去ってきていた彼らにとっては異例なことだったのだ。